田中敦子さんが亡くなってから「攻殻機動隊」のテレビシリーズを改めて見つつあります。享年61歳。病気とはいえ早すぎます。殊に自分より若い人の他界はとても悲しいです。心よりご冥福をお祈りいたします。
知的または神秘的な強い女性を演じることが多かったですが、中でも「攻殻機動隊」の草薙素子は代表格ですね。少佐はカッコ良過ぎます。少佐の話はネット上たくさんありますのでそちらを見ていただくとして、僕が印象深いキャラクターを。

まずは
「ゴルゴ13」のエバ・クルーグマン。「ゴルゴ13」の中で原作漫画、アニメ共に名作と称される「海へ向かうエバ」のヒロイン。暗殺の技は凄腕で針を使って相手が気付くことなくターゲットを殺害します。ところがマフィアのボスを暗殺した後、マフィアはゴルゴ13にエバの殺害を依頼します。3年半前にエバとゴルゴ13は同じ船に乗り合わせ、船内に仕掛けられた時限爆弾を解体。共感した二人はベッドを共にします。そして再び出会った二人はベッドを共にし、偶然の再会を喜ぶエバでしたが、「偶然でない、エバ」というゴルゴ13の言葉(名前を伝えてなったにもかかわらず名前を知っていた)に自分がターゲットであるということを知ります。フリーな一日を過ごしたあと、ボートで海に向かうエバをゴルゴ13は狙撃して幕をとじます。殺し屋としてクールな面と故郷を訪ねて人間味のある面を田中さんはシームレスに演じています。
「寄生獣セイの格率」、パラサイトの中で特に知能が発達した個体・田宮良子。真一の学校に教師として赴任してきます。赴任当日の朝礼での壇上の挨拶で真一の存在に気付き、一旦は攻撃的な態度を取ったものの、人間とパラサイト(ミギー)との共存に興味を持って真一に止めは刺さず、自らもパラサイト同士の生殖を試みて子供をもうけたり、複数のパラサイトを一体の人間に組み込んだ「傑作」ゴトウを作り上げたりします。真一に対して「ゴトウとは戦うな。あれは最強だ」とアドバイスしたりもします。最後は子供を真一に託したあと警官隊の銃弾を浴びて死亡。感情を持たないパラサイトを淡々と演じつつ、進化して徐々に感情的な表情を見せていく変化を表現しています。
「Fate/stay night」のキャスター。ギリシア神話の裏切りの魔女メディアを真名とするサーヴァント。魔術は持たず魔法を使う魔法使い。召喚したマスターを殺害した上にランサーに襲撃され、消滅の危機となりますが、衛宮たちの学校の先生にして、柳洞寺に間借りする葛木宗一郎と出会い、マスター契約を結びます。葛木宗一郎は魔術師ではないので、柳洞寺の霊脈を使って町の人々の生命力を吸い上げて魔力を蓄えます。冷静で感情を見せず残虐冷酷なキャスターとマスター葛木を愛する女性との二面を田中さんは切り換えつつ演じています。
いずれも二面性のあるキャラクターで難しい役所をさすがの技量で演じられてます。