
ターゲット狙撃のラストシーン
以前高倉健さんが亡くなった時に記事をアップしたのですが、今回この劇場版「ゴルゴ13」を改めてじっくり見てみました。
「ゴルゴ13」は1973年東映の配給で公開された日本とイランの合作の劇場版。監督は佐藤純弥、原作は さいとう・たかを、脚本をさいとう・たかをとK・元美津、高久進が担当。音楽は木下忠司、製作は東映・SOCIÉTÉ ANONYME CINÉMATOGRAPHIQUE IRAN。ロケの殆どをイランで行い、日本の俳優は高倉健のみで後は外国人。映画の言語は日本語ということで外人俳優さんの声は日本の声優陣が吹き替えています。キャスティングにはテアトル・エコーと青二プロダクションという二大声優プロダクションが協力しています。

秘密警察の面々フラナガン警察部長がゴルゴを知らない人に説明をしてくれます
某国秘密警察の捜査員が犯罪組織のボス・マックス・ボアによって消されていった。警察部長のフラナガンはマックス・ボアがイランに潜伏しているという確かな情報を得た千載一遇のチャンスにマックス・ボア暗殺をゴルゴ13にUS50万ドルで依頼する。ゴルゴ13は秘密警察のキャサリンと新婚旅行を装いテヘランへ向かった。ボアは替え玉を何にも操り素顔も知られていなかった。ゴルゴ13はボアの右腕である殺し屋ワルター探し出す。ゴルゴ13がボアを狙っているとの情報をつかみ、殺し屋サイモンらを呼び寄せる。そんな中、イランでは女性が大量に行方不明になる事件が起こっていた。ボアによる人身売買だった。妻をさらわれたイラン警察のアマン、ゴルゴ13、ボアのイスファーファン、砂漠での戦いを描く。
高倉健の演じるゴルゴ13は非常に人間くさい。クールなところは健さんに似合うのだけれど、臆病で慎重なゴルゴ13は非常に周囲に目を配り、キョロキョロ。原作のゴルゴの神業的なところが見られない。ボアが可愛がっているペットの鳥の籠を撃ち、表に出た鳥が飼い主の肩に飛び乗ったことで、ゴルゴはボアがどの人物かを見抜くが、原作ならあそこで撃ち抜いているはず。短編、一話完結の原作を映画の尺に延ばしたことが却って冗長になっていないか。最後ヘリで追撃してくるワルターを撃ち殺し、ヘリをも撃墜するが、砂漠の只中に置き去りにされた形に。あの状況を生き抜いて、最後にはボアを仕留めるが見ていて納得のいかない結末です。
秘密警察のキャサリンはワルターに撃ち殺され、妻を救出しようと奮闘したアマン警部も殺されてしまうが、勿論ゴルゴは仕事のためにはその二人の救出には手を出さなかった。その時のゴルゴの表情やしぐさも何か中途半端。一瞬助けそうな表情を見せるところがちょっと。。。