2005年01月24日

フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト

 僕はプロフィールにも書いたがイノシシが好きだ。猪突猛進、力に任せて前へ前へ突き進む姿に憧れるからだ。「銀河英雄伝説」の中で猪突猛進型の猛勇猛将というとフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトだろう。ビッテンフェルトが指揮する艦隊は黒で塗装された高速戦艦で構成された「黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレイター)艦隊」、ラインハルト旗下では突進力が売り物の艦隊だ。
 オレンジ色のやや長めの髪でいつも冷ややかな厳しい表情を見せる。短気でのせられやすく、直線的なために柔軟さに乏しくヤンには度々苦杯を飲まされる。しかし、初期からラインハルトの元で忠誠を尽くし、最後は元帥に列せられることになる。
 声を演じるのは野田圭一氏。吐き出す言葉ははもののみごとな名台詞揃いだ。アムリッツァの会戦では、
「射てば当たる、攻撃の手をゆるめるな」
「勝利の女神は、下着をちらつかせているぞ」
ランテマリオ星域会戦では、
「わが艦隊の辞書には、後退とか迂回とかまどろっこしいことばは載っとらん」
と豪語する。見ていて気持ちがよい男である。アムリッツァの会戦で用兵に失敗してラインハルトに叱責された時は、まあ落ち込んだ可哀想な顔をしていたが。
 多くの人間の命を預かる指揮官であるなら、思慮深いことは必要だが、圧倒的な力と優位な立場ならビッテンフェルトのようにありたいものだ。
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2004年09月14日

レグニッツアの邂逅

 劇場版「銀河英雄伝説〜わが征くは星の大海〜」は1988年の作品。ビデオシリーズ発売前の「銀河英雄伝説」のパイロットフィルム的な役割もこめて制作されたとか。あの長大な物語のどのエピソードを取り上げるかというのは大変な選択作業だったと思う。ここを見ただけで全体像を掴むことができるものでなくてはいけないし、物語を知っている者にとっては文章の中のキャラクターがどのように映像化されるかも重大な問題。結果的には見事な選択だったと思う。
 この作品の一番の見所は第四次ティアマト会戦で先鋒のライハルトの艦隊が右へ回頭して帝国軍と敵軍の間を進行する場面。ラインハルトがシリーズ中、唯一無茶な賭けをした場面でもある。キルヒアイスに諌められて「もう二度とやらない」と応えている。ここでのBGMにはラヴェルのボレロが使われている。その効果は抜群、忘れ得ない映像音楽となっている。ご存知「銀河英雄伝説」のBGMにはクラッシック音楽が使われている。
 この作品での重要なもうひとつの場面はラインハルトとヤンの邂逅の場面であるレグニッツアでの戦いのシーン。帝国軍は遠征から戻ったばかりのラインハルト軍に対してイゼルローン要塞への駐留を命令。イゼルローン要塞へ向かう。一方同盟軍はレグニッツア星域へ侵攻する。イゼルローン入港を前にラインハルトは長旅で疲れているから対応は駐留軍に任せるようにキルヒアイスに言うが、要塞司令部からは近くにいるライハルトに対応するよう命令する。要するに冷遇されているわけだが、ここでライハルトは見事な作戦で自軍に被害なく敵艦隊の4/5を殲滅する。僕は帝国軍ファンで同盟軍やヤンには全然興味はない。レグニッツアは記念すべきラインハルトとヤンの邂逅だが、ここでヤンが戦死していても別段どうでもいいことだが、それでは後の話が続かないから良しとしておこう。
 このレグニッツアの邂逅の場面で使われているのがニールセンの交響曲四番「不滅」の第四楽章。既成の音楽を用いてこれほどピッタリ映像と合わせたものは他にない。「不滅」の第四楽章を聞くと条件反射的にレグニッツアを思い出すほどすばらしい。

NOTE
 ニールセンは(1865〜1931)はデンマークの国民的作曲家。北欧ではシベリウスと共に有名だそうだが、日本では余り知られていない。
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2004年06月14日

パウル・フォン・オーベルシュタイン

 田中芳樹氏の小説「銀河英雄伝説」がアニメ化されてから久しい。中にはアニメオリジナルストーリーも存在するが、小説を読んでみるとそのストーリーは原作に忠実、場面によっては完璧に小説そのままの動き、台詞であり、この原作が如何に偉大かがわかる。
 さて、この長大な作品にはまたたくさんのキャラクターが存在するが、僕が一番好きな人を一人選べと言われると、表題の男を迷わずあげる。
 パウル・フォン・オーベルシュタインは時には変人と呼ばれ、曲者と呼ばれ、他人に同調することは稀で嫌われ者である。しかし、周りには全く感化されず、冷静かつ非情に黙々とラインハルトと国家に尽くす姿は惚れ惚れする。オーベルシュタインは国家に忠誠を尽くす余りにラインハルトさえその一部とみなしているような記述も多々目にしたが、僕は例え作者がそう言ったとしても賛成はできない。オーベルシュタインはラインハルトに忠誠を誓っていたのだ。
 キルヒアイスが死んだその日、ラインハルトを狙ったアンスバッハ准将の銃口に対し身をもって盾となったのはオーベルシュタインだった。あのほんの僅かなシーン、表情ひとつ変えない動作にオーベルシュタインの忠誠心が見てとれる。そしてその後、意気消沈して動かないラインハルトに対し幕僚たちが集まり事態の打開を計る。その場にオーベルシュタインの姿は見えないが…。

ロイエンタール「ラインハルト閣下には立ち直ってもらわねばならない」

 皆が姉アンネローゼに説得してもらう策を妥当だと考えてはいるのだが、アンネローゼにとりつごうとする者はいない。

オーベルシュタイン「私がその役を引き受けよう」
 ロイエンタール、ミッターマイヤー、ケスラーいずれもが引き受けなかった仕事を当然のように引受実行する。銀英伝一かっこいい男だと思うのだが、いかがか?
posted by KAZU at 20:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀河英雄伝説