2005年03月01日

カール・ロベルト・シュタインメッツ

 カール・ロベルト・シュタインメッツは「銀河英雄伝説」の最初の作品「銀河英雄伝説−わが征くは星の大海−」で旗艦ブリュンヒルトの初代艦長として登場する口髭、顎髭の人物。本編ではそれほど多く登場するわけではないが、この最初の登場が印象的で好感のもてる風貌だ。
 ラインハルトの旗艦ブリュンヒルト(Brunhilde)は全長1007mの白い大型戦艦、確かラインハルトが大将昇進と共に与えられた船。この初代艦長に着任したのがシュタインメッツ大佐。設定年齢は当時のラインハルトより10歳年上の29歳。旗艦の艦長ということだからかなり若いと思われる。その分やはり実力があったのだろう。
 第4次ティアマト会戦でラインハルトの艦隊が先行、途中突然の回頭で両陣営の前を通り抜けた後、双方の総力戦となる。ほぼ互角の戦況ながら帝国軍側には無傷のラインハルト艦隊が残っており、ラインハルトが参戦して同盟軍は一気に劣勢となる。ヤンは陽動作戦を志願して無人艦を使った陽動作戦を遂行する。帝国軍司令官ミッケンベルガー元帥は見事にひっかかり退却命令を出すが、ラインハルトはこれが陽動であることを見破りミッターマイヤー少将に高速艦での追撃を命じる。同盟軍もこれまでという危機に陥ったがヤンのユリシーズがブリュンヒルトの真下に接舷してブリュンヒルトを人質に取る形で、同盟軍は退却する。この時激昂したラインハルトが自艦隊にブルンヒルトにかまわず攻撃をするよう命令するが、ここで艦長シュタインメッツが艦の存続にかかわることは艦長の職分であり、慎むようにと強い口調でたしなめる。ラインハルトはこれを聞き入れてシュタインメッツに謝罪する。以後の本編も含めてシュタインメッツが前面に出てくる場面はこれだけのような気がする。
 リップシュタット戦役(参考)後にラインハルトの旗下に加わり艦隊を任されるが、神々の黄昏れ作戦ではヤンのブラックホールを利用したゲリラ作戦に敗北、最後はヤン亡き後の同盟軍との最後の決戦において旗艦に直撃を受け、倒れ落ちた艦橋の柱の下敷きになりながら果てる。最初の作品ほどかっこいい場面はなかった。これはなんとも残念なことだ。
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2005年02月13日

ウルリッヒ・ケスラー



 「銀河英雄伝説」で本編初期から最終回まで、さらに外伝でも何度か登場する将官。茶色の髪の毛の両鬢が白い、実年齢より老けてみえる風貌ながら清廉潔白で誠実な人柄、その人柄を示すエピソードが多かった。声を演じるのは池田秀一さん。
 イゼルローン要塞占領で意気上がる同盟政府は負担が増大しているにもかかわらず主戦派が優位に立ち、帝国への大侵攻を始める。元帥に昇進したラインハルトは同盟軍を帝国領内深くへ誘い込み消耗させるために、徹底的な焦土作戦を展開する。侵攻星域から食料・物資を徴収して軍を引き上げるこの作戦の遂行したのが准将時代のケスラー。作戦の立案者は物語中では出て来ないがオーベルシュタインだろうというのが一般的な意見だ。第13話「愁雨来たりなば」はアニメオリジナルストーリーで焦土作戦を遂行するケスラーが描かれている。
 また外伝では「朝の夢、夜の歌」、「千億の星、千億の光」をはじめとして実際に登場するエピソード以外にも名前だけが登場する場面がいくつかちりばめられている。どの回もケスラーの人柄を示すものばかりである。
 本編でラインハルトが帝国皇帝に即位してからは憲兵総監・帝都防衛司令官を務め、その手腕が見事に描かれている。終末では地球教教徒のラインハルト暗殺の動きに自ら果敢に立ち回った。
 第106話「柊舘炎上」ではヒルデガルドとアンネローゼに迫った危機に駆けつけたケスラーはヒルデガルドの侍女であったマリーカ・フォン・フォイエルバッハに柊舘内部の様子を聞き地球教テロリストを撃退する。軍服のよくわからないマリーカはケスラーのことを「大佐さん」と呼びそれを黙って否定しないところも寛容なケスラー上級大将の人柄か。マリーカはこの「大佐さん」がウルリッヒ・ケスラーと名乗って驚愕する。(さすがに名前は知っていたわけだ) 事件のショックでヒルデガルドは産気づき、無事ローエングラム王朝第2代皇帝になるべき子を出産する。その知らせを聞いてマリーカはケスラーの手を執ってダンスを踊る。この後のナレーションは原作のまま(のはず)。
「……こうして、未来の銀河帝国ローエングラム王朝第2代皇帝が誕生した夜、謹厳にして剛直な帝都防衛司令官は、20以上も年下の少女と、軍服姿のままダンスを踊ることになった。ちなみに、2年後、この少女はケスラー元帥夫人となるのである」
 銀河英雄伝説中結婚したいキャラの三本指に入るというケスラーならではのエピソード。
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2005年02月08日

「奪還者」

 アイゼナッハ提督の記事で「銀河英雄伝説外伝」のことを書いたが、本編はとてつもない長編で小説を読むにもビデオシネマを見るにもそれなりの時間と気力?が必要だ。しかし少し「銀河英雄伝説」の世界をかじってみたい方には劇場版を見た後は「外伝」を見てみることをお勧めする。中でも「奪還者」は小説にないオリジナルストーリーで粋な味付けがしてあり、アニメファンには嬉しい作品でもある。
 中佐に昇進したラインハルトは巡洋艦「ヘーシュリッヒ・エンチェン」の艦長に就任する。さしたる同盟軍の動きもなく日々演習で部下を鍛える毎日。ある日レンネンカンプ大佐に呼び出され極秘任務が与えられる。ここから先は書いてしまうと、これから見てみようと思っておられる方に失礼なので伏せておくが、お勧めのエピソード。若干16歳のラインハルトの見事な艦長ぶりを楽しめる。ビデオは第1話、2話と第3話、4話が別の巻になっているのだが、DVDが発売されて1巻で通して見られるようになっている。
 先に書いた「粋な味付け」について少し書いておくと、後のラインハルトの幕僚たちの若き時代の姿が描かれている。
 ラインハルトの上官ヘルムート・レンネンカンプ大佐は後の同盟領高等弁務官となる男だが、本編ではラインハルトの生い立ち、若さ故に蔑む態度が多い上官の中で非常に穏やかに筋道を通してラインハルトに接している。
 「ヘーシュリッヒ・エンチェン」の副長にはアウグスト・ザムエル・ワーレン少佐が登場。艦長ラインハルトに対しても、キルヒアイス中尉に対しても仲間、同士としての信頼や尊敬の念にあふれている。独白の部分でもラインハルトに対しては一切濁ったところがなく、後の幕僚たる風格がある。副官としてラインハルトへのアドバイスや修正意見を述べ、きっちりと仕事をこなしている。
 フェザーン自治領の駐在武官には後の「鉄壁ミューラー」、ナイトハルト・フォン・ミュラーが登場する。とは言っても名前だけの登場なのだが、極秘任務にあたるラインハルトを後方から支援する形で「ほとんど期待できない」という状況下きっちりした仕事でラインハルトを助けた。この作戦の陰の功労者だ。キルヒアイス亡き後はラインハルトの幕僚中最も若い将官。この時は22歳で中尉。
 エルンスト・フォン・アイゼナッハについては既に書いたが、ミュラーが本国へヘーシュリッヒ・エンチェンの補給を要請、その任を帯びてイゼルローン回廊で待機していた補給艦の艦長。戦闘能力のないヘーシュリッヒ・エンチェンが追手との距離を縮めることなく補給を行い、補給後は足手まといにならないよう、補給物資を排出しながら自らは離脱する行動で、味方護衛艦の支援のない状況をのりきった。ワーレンの言「おそろしく無口な男で、沈黙艦長の名をいただいているほどです」。
 単独で見て十分楽しめるお勧め作品なので、是非一度御覧になってください。
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2005年02月06日

エルンスト・フォン・アイゼナッハ

 帝国軍ラインハルトの幕僚には個性的な人間、クセのある人物が揃っているが、変わっているというならこの人だろう。「エルンスト・フォン・アイゼナッハ」である。
 皇帝フリードリヒ四世が崩御した後、大貴族たちとラインハルトとの間に緊張が高まる。エルウィン・ヨーゼフ二世を即位させたのはリヒテンラーデ公とラインハルト。それに反対する勢力はブラウンシュバイク公を中心にリュプシュタット連合軍が結成され「リュプシュタット戦役」が勃発する。この戦役はブラウンシュバイク公の自決というより部下達による毒殺で終結するが、その後、連合軍の名だたる武将がラインハルトに忠誠を誓う。アイゼナッハもこの戦役以降に幕僚に名を連ねた武将の一人。
 アイゼナッハは別名を「沈黙提督」、顔の表情、手のしぐさだけで命令を下し、一切言葉を発しない。作品第2期に登場してから終盤近くまで一言も喋らなかった。それでいて結婚していて子供もいるということだから何とも不思議な人物だ。最初に喋った言葉が「チェック・メイト」(声優は津嘉山正種さん)だった。ラインハルトとミッターマイヤー以外は初めて聞いたという声。「あいつが喋った」、他の幕僚さえも聞いたことがなかったわけだ。最後までラインハルト軍を支え、ラインハルトの遺言により元帥に名を連ねることとなる。
 ビデオシネマでは他に外伝「奪還者」にも登場する。本編では提督だが、この時は補給艦の艦長でその時に既に「沈黙艦長」と呼ばれていた。敵宇宙域から単独で脱出を図るラインハルト艦に対し、先行しながら補給物資を排出しながら渡すという頭脳的な行動を取ってラインハルトが一目を置いた。外伝のおもしろさは、後の幕僚たちの若き頃の活躍をかいま見ることができることにもある。このアイゼナッハにしてもケスラーにしてもシュタインメッツにしても、ミュラーにしても、後の武将たちは若き日々より輝いているということだ。
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2005年01月26日

ラインハルト・フォン・ミューゼル



 銀河英雄伝説はラインハルトとヤン二人の英雄の戦いの物語ではあるが、ではどちらが主かと言えば勿論ラインハルトだろう。ヤンは物語途中で暗殺されるし。僕は第一ヤンが嫌いだ。ヤンが暗殺されて手をたたいていたら、物語はファンにとっては厳しい展開を迎えることになる。ロイエンタールとミッターマイヤーの一騎討ち、ラインハルトの発病・臨終。一番大好きなオーベルシュタインの死…。
 それはさておき、以前にもご紹介したように「銀河英雄伝説」のBGMはクラシック音楽だ。そして主人公ラインハルトのテーマ音楽になっているのがショパンのノクターン第9番作品32-1である。実力によって大将の位にまでかけのぼるも、姉アンネローゼが皇帝の寵姫になり、軍内部では「スカートの中の大将」と呼ばれるラインハルトの落ち着いた気品のある雰囲気、短気で切れると激しい感情をむき出しにする性格を実にみごとに当てはめた選曲だ。
 最初の劇場作品「銀河英雄伝説〜わが征くは星の大海〜」のは作品としてはビデオ作品のパイロット版の役目をしているが、BGM集は「銀河英雄伝説」の音楽の入門版としても大変貴重。マーラー、ショパン、ニールセン、チャイコフスキー、ベートーベン、ラベル、モーツアルトとレーベルがなければクラシックのダイジェスト版のようだ。長大な作品で全編を見る時間のない方はまず、「銀河英雄伝説〜わが征くは星の大海〜」を御覧ください。

過去記事
レグニッツァの戦い
パウル・フォン・オーベルシュタイン

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 クラシック音楽に興味のある方にはこちらのブログなどはいかがでしょうか。「六国峠@ドクター円海山の音楽診療室−すこやかに〜のびやかにぃ〜」と長いタイトルなんですが、Dr.-Enkaizanさんのクラシック音楽サイトです。相互にトラックバックもさせていただいてますが、記事をアップしてから時間がたってのトラックバックなどもありなかなか気づいていただけないので、ここで少しご紹介。
http://drenkaizan.exblog.jp/1240842
http://drenkaizan.exblog.jp/1025894
http://drenkaizan.exblog.jp/1557483
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2005年01月24日

フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト

 僕はプロフィールにも書いたがイノシシが好きだ。猪突猛進、力に任せて前へ前へ突き進む姿に憧れるからだ。「銀河英雄伝説」の中で猪突猛進型の猛勇猛将というとフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトだろう。ビッテンフェルトが指揮する艦隊は黒で塗装された高速戦艦で構成された「黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレイター)艦隊」、ラインハルト旗下では突進力が売り物の艦隊だ。
 オレンジ色のやや長めの髪でいつも冷ややかな厳しい表情を見せる。短気でのせられやすく、直線的なために柔軟さに乏しくヤンには度々苦杯を飲まされる。しかし、初期からラインハルトの元で忠誠を尽くし、最後は元帥に列せられることになる。
 声を演じるのは野田圭一氏。吐き出す言葉ははもののみごとな名台詞揃いだ。アムリッツァの会戦では、
「射てば当たる、攻撃の手をゆるめるな」
「勝利の女神は、下着をちらつかせているぞ」
ランテマリオ星域会戦では、
「わが艦隊の辞書には、後退とか迂回とかまどろっこしいことばは載っとらん」
と豪語する。見ていて気持ちがよい男である。アムリッツァの会戦で用兵に失敗してラインハルトに叱責された時は、まあ落ち込んだ可哀想な顔をしていたが。
 多くの人間の命を預かる指揮官であるなら、思慮深いことは必要だが、圧倒的な力と優位な立場ならビッテンフェルトのようにありたいものだ。
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2004年09月14日

レグニッツアの邂逅

 劇場版「銀河英雄伝説〜わが征くは星の大海〜」は1988年の作品。ビデオシリーズ発売前の「銀河英雄伝説」のパイロットフィルム的な役割もこめて制作されたとか。あの長大な物語のどのエピソードを取り上げるかというのは大変な選択作業だったと思う。ここを見ただけで全体像を掴むことができるものでなくてはいけないし、物語を知っている者にとっては文章の中のキャラクターがどのように映像化されるかも重大な問題。結果的には見事な選択だったと思う。
 この作品の一番の見所は第四次ティアマト会戦で先鋒のライハルトの艦隊が右へ回頭して帝国軍と敵軍の間を進行する場面。ラインハルトがシリーズ中、唯一無茶な賭けをした場面でもある。キルヒアイスに諌められて「もう二度とやらない」と応えている。ここでのBGMにはラヴェルのボレロが使われている。その効果は抜群、忘れ得ない映像音楽となっている。ご存知「銀河英雄伝説」のBGMにはクラッシック音楽が使われている。
 この作品での重要なもうひとつの場面はラインハルトとヤンの邂逅の場面であるレグニッツアでの戦いのシーン。帝国軍は遠征から戻ったばかりのラインハルト軍に対してイゼルローン要塞への駐留を命令。イゼルローン要塞へ向かう。一方同盟軍はレグニッツア星域へ侵攻する。イゼルローン入港を前にラインハルトは長旅で疲れているから対応は駐留軍に任せるようにキルヒアイスに言うが、要塞司令部からは近くにいるライハルトに対応するよう命令する。要するに冷遇されているわけだが、ここでライハルトは見事な作戦で自軍に被害なく敵艦隊の4/5を殲滅する。僕は帝国軍ファンで同盟軍やヤンには全然興味はない。レグニッツアは記念すべきラインハルトとヤンの邂逅だが、ここでヤンが戦死していても別段どうでもいいことだが、それでは後の話が続かないから良しとしておこう。
 このレグニッツアの邂逅の場面で使われているのがニールセンの交響曲四番「不滅」の第四楽章。既成の音楽を用いてこれほどピッタリ映像と合わせたものは他にない。「不滅」の第四楽章を聞くと条件反射的にレグニッツアを思い出すほどすばらしい。

NOTE
 ニールセンは(1865〜1931)はデンマークの国民的作曲家。北欧ではシベリウスと共に有名だそうだが、日本では余り知られていない。
posted by KAZU at 18:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀河英雄伝説