
「蒼箏曲」は2012年8月に公開された劇場作品。原作は夏目漱石の「こころ」、監督は天野裕充、プロデューサー&企画&脚本は中町サク、撮影は中尾正人、製作プロダクション・企画・配給・宣伝はBANANAFISH、2012「蒼箏曲」製作委員会、本編62分。
タイムレンジャーのゆうりこと勝村美香さん主演ということで、これは見ないわけにはいきません。劇場公開は残念ながら無理でしたが、DVDを購入。美香さんは先生の妻・静の役ですが、最初に夫を呼ぶ声とラストに二人の遺書を燃やすシーンでのワンフレーズ以外は全くの無言の演技です。震災で実家が被災して以来演じる美香さんをみるのは久しぶり、実に綺麗な画です。
原作は夏目漱石の「こころ」。かなり現代風のアレンジなんですが、Kが自殺した理由とそれを決めた時期がポイントであることはこの作品も変わりません。本編では遺書の内容は全く出てきませんからそれを文字から推測することはできず、言葉少ない先生とKの言動から追うことになります。
構成は先生の自殺から始まり、15年前に戻って前半は先生の目から見たストーリー、後半はKの目から見たストーリー、同じシーンを別角度から描いています。そして最後は二人の遺書を燃やす静。静の気持ちを推し量るのは最後の静の「おやすみなさい」の言葉だけですから、難しいです。時折、原作と同じセリフも出てきます。また静の母を演じる斉藤レイ さんの演技がまた怪演とも言えるほどに巧いです。
★キャスト
全員で5人。他に人物は全く出てきません。
現在の静 / 勝村美香
先生 / 尾関陸
15年前の静 / 高田里穂
K / 夛留見啓助
静の母 / 斉藤レイ