
白黒テレビ時代のハードSFアニメの傑作「エイトマン」。原作の平井和正が緻密な設定のもとで執筆して脚本も担当している。出力10万キロワットの超小型原子炉を搭載、電子頭脳からの命令を光速で各部へ伝達して弾よりも速く走るスーパーロボット。超人気アニメであったにもかかわらず二度の社会的事件に阻まれて突如放映を終えている。ファンとしてはそういう制作事情は抜きにして楽しみたい。
最終回第55話、第56話は原作者平井和正氏の脚本による「超人類ミュータント」(前編/後編)。IQ180を超える超人類、僅か9歳の天才博士3人が人に代って世界を支配しようと人類に挑戦してくる。重力制御マシンを発明したシン博士、バリヤーを発明したソーニャ博士、ロボット魔王を発明したアルフレッド博士の綿密に練られた作戦に、エイトマンの制作者谷博士と宿敵デーモン博士が共同でエイトマンを兵器に改造して立ち向かう。
エイトマンファンはご存知と思うが、谷博士はスーパーロボットの兵器化を避けるために試作段階のエイトマンを連れて日本へやってきた。デーモン博士は超人類に対抗するためにエイトマンの兵器化改造を主張する。エイトマンも同意してモニター装置、超高速振動装置、光線銃レーザー、そして既出のエイトマンナイフを装備、重要部分を補強するために超金属装甲を施したスーパーロボット兵器が誕生する。シン博士はエイトマンの正体が東探偵であることを見抜き護衛に東探偵を雇ってエイトマンを誘い出す。ロボット魔王の首をエイトマンナイフで切り飛ばしたものの、超高速振動装置は大江博士の重力制御装置で抑えられ、三人を狙った電撃はソーニャ博士のバリヤーで間一髪防がれてしまう。細かいところは忘れてしまったがアルフレッド博士ひとりがこの戦いで犠牲になる。「アルフレッドは一番劣っていた」と切り捨てるシン博士。最後、シン博士とソーニャ博士は「人類が愚かな過ちをくり返そうとしたら、再び現れて、今度こそ人類を滅亡させる」と言い残し空間を曲げてどこかへ行ってしまう。断崖に立つエイトマン、谷博士、デーモン博士。決着をつけないまま終ったこのエピソードが最終回となっている。実際のところは最終回として制作されたのではないそうだが、平井和正氏の脚本、最終回にふさわしいラストシーンとなっている。最後に谷博士が名台詞で締めくくっているのだが、正確に覚えていないので、確認できたら改めてご紹介したいと思う。
