昨日の続きを。
一方南極では基地のある11カ国があつまり「南極連邦政府」を樹立。863人の生存者が極寒の地で生きていくことになる。女性はたった8名(だったか)。一人の女性隊員に対する暴行事件がきっかけで、女性を未来への資産として守っていかねばならない反面、女性の個としての意思を無視しなければならない状況が描かれる。1年後殆ど全ての女性に子供ができている。この点では原作よりも映画ではさらに踏み込んだ描写をしている。原作では厳密な抽選によって男性は女性を得るというシステムを作っていたと思うが、さすがに映画ではシステムそのものはぼかされている。しかし、クリスマスパーティの隊員達の言動から同様のシステムが存在していることが想像できる。
この作品で僕が素晴らしいと思ったのは英国原子力潜水艦の艦長。イタリアかぜの患者を乗せたソ連潜水艦が南極基地上陸を求めてきて、米ソ提督がそれを拒否。強引に上陸しようとするのを英国の原子力潜水艦艦長が事態の深刻さを訴え、思い止まるようにソ連原潜艦長を説得、それに応じないソ連原潜に対してソ連提督が英国原潜艦長に任務を果たすよう命令を下す。果たして英国原潜はソ連原潜を撃沈する。明らかにパニック状態のソ連原潜と沈着冷静、事後南極を離れようとする英国原潜の対比が実に見事だった。軍人たるもの状況の把握と何が最も大切なのかの判断を下さなければならない、個がそこにあってはいけないと思う。ましてパニックなどあってはならない。
この作品は156分。物語の最後のエピソードは最後のわずか30分で語られる。草刈正雄の地震予知の研究でアメリカ東南部に大地震が発生することがわかる。この地震でアメリカの報復システムが始動、最初の核ミサイルがソ連国内で爆発した時に、ソ連の報復システムがアメリカ全土に核ミサイルを発射することが明らかになる。そしてソ連はアメリカ南極基地を秘密基地だという認識を持っており、南極基地も目標に入っているという。アメリカの少佐と共にホワイトハウスへ向かった草刈正雄は報復システムの停止を試みるのだが、地震が起こりタッチの差でミサイルは発射されてしまう。“too late....” 少佐は死亡、草刈正雄は潜水艦に作戦の失敗と上陸直前に接種したワクチンの有効性を無線連絡する。(Read Moreへ)
核ミサイルが飛び交い、世界は二度滅びた。映画では南極基地も吹き飛んだようだ。前もって砕氷船で脱出した女性と子供、一部の男性のみが生き残った。ホワイトハウス地下深くにいた草刈正雄は奇跡的に助かり、精神を病みながらもただ引き寄せられるように「南へ、南へ」歩き、最後には生き残りの人々のキャンプへ到達する。有名な草刈とオリビアの抱擁シーンだ。余りに少ない生き残りの人数は「復活の日」にはほど遠い。悲しいラストシーンだった。
原作では結局、南極は標的になっておらず基地は無事、放射線を浴びたウイルスが無毒化(死滅)して数年経過後、南米の南端に再び上陸した南極連邦政府の人々とホワイトハウスから徒歩で南へ向かったヨシズミは劇的な再会をする。放射線で脳が破壊された男はもう通常の精神をもっていなかったが。オリビア・ハッセーは自分の意志で体をはって草刈正雄に餞別を送っているが、原作では南極にいた女性は確か3人だったかで、不帰の任務につく男のために最後の夜を共にした女性はずっと年配の女性だった。
ストーリーの半分以上が英語でのお芝居。日本国内と昭和基地内での会話のみが日本語だった。英語は日本人でも分かりやすいような英語にしてあってかなり聞き取りよい。特撮シーンはごく一部だが“すさまじい”という形容詞が似合う。是非ご覧ください。
2006年07月10日
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