
カイオウ、ラオウの実弟にして北斗の次兄トキ(写真左から二人目)。声を演じるのは土師孝也氏。
北斗神拳は秘孔を突いて相手を倒す拳だが、この秘孔を押さえる加減で病を直すことができるとケンシロウが正統継承者に選ばれて以降もその意志を貫き実践した優しき拳士。
ラオウと共に崖下に落とされ、はい上がった者だけを養子に迎え入れるというリュウケンにラオウはトキを抱えて崖をはい上がる。ラオウの行為に驚きながらもリュウケンはラオウ、トキ共に養子とする。しかし核戦争でシェルターの扉が閉まらなくなり、自らを犠牲に外から扉を閉めて死の灰を浴びる。これが元で大きく命を縮めることになる。
ラオウの剛の拳に対して柔の拳を使い、またケンシロウを支援するにあたっては病をものともしない拳で敵を倒す。カサンドラでは脱出が可能としながらも病で動けないためにケンシロウが来るのを待っていた。命を狙った拳王親衛隊にも痛みを伴わない有情破顔拳を繰り出し、安らかに笑いながらの死を与えた。
見せ場は二度のラオウとの対峙とケンシロウ、リュウガとの戦い。最初のラオウとの戦いはトキが秘孔を突かれた直後、ケンシロウの新胆中を突いて動きを封じ、ラオウの剛の拳には静水の拳が必要と「俺の戦いを見ておけ」と命をかけて技をケンシロウに見せようとラオウに戦いを挑む。しかしラオウはトキの足を踏みつけ自分の足ごと剣を突き刺して間合いを固定して持久戦に持ち込む。この勝負は決死で呪縛から逃れたケンシロウが割って入る。これは息を呑む場面で後の勝負以上に緊張して見た覚えがある。ラオウから「道を踏み外した時は俺の拳を封じてくれ」と言われており、拳を使って止めようとするケンシロウに応えて拳を繰り出す。これは当然互角の戦いで引き分け。二度目のラオウとの戦いではトキが寿命を縮めて剛拳を繰り出す両太股付け根の刹活孔を突いて剛拳同士の一騎討ちとなる。しかし剛の拳ではラオウには勝ち目はなく全てを知り、余命も少ないことを悟ったラオウは戦いの途中から涙しつつ、とどめは刺さずに去る。この時のラオウのセリフを思い出さないのだが、「余命を安らかに暮らせ」と言っていたと思う。余命を北斗神拳による医術に使うトキを襲ったのがユリアの兄・泰山天狼拳のリュウガ(写真右端)。トキを殺しケンシロウとの真剣勝負に挑もうとするがリュウガはトキに止めを刺さなかった。それを知らぬケンシロウはリュウガに北斗百裂拳を見舞う。とどめの寸前にリュウガのペンダントの中のユリアの写真を見てケンシロウの動きは止まる。リュウガはケンシロウとの戦いの前に自らの腹を割っており果てる。ここでトキも命尽き、第3部が終了。
最終回ではケンシロウがともを回想する中でトキは「ケンシロウ、悲しみを怒りにに変えろ」と言っている。今の実社会では反社会行為とされるが人間が最も大きな力を発揮するとすれば悲しみを原動力にした怒りであろうと僕も思う。心優しき柔の拳のトキではあったが、この言葉は拳士の精神を凝縮している。
