
1991年ガンダム誕生から12年を迎えて「テレビシリーズ第1作のスタッフ再集結」というふれこみで制作されたガンダムシリーズ劇場版第5作。テレビシリーズ化を想定して制作されたために、人物設定が緻密。当然各キャラクターのエピソードはテレビで見られるものと思っていたので残念でならない。テレビシリーズ化は断念され、未だ続編も作られていない独立した作品。企画・制作はサンライズ、監督は富野由悠季、音楽は門倉聡。松竹系で配給、この手のアニメ劇場版としては115分とかなり長編。長いおかげで一応うまく描ききれている感じがする。単独作品として十分見応えがあると思う。
テレビシリーズ第1作の時代からずっと後の世界、「1年戦争」を知らない世代を中心としたストーリーで、相変わらず政治的な背景が色濃い人物設定。ガンダムの伝統的な流れを踏んでいておもしろい。当然のことながらキャラクターは一新されている。キャラクターとキャストをご紹介すると、主人公・高校生にしてガンダムのパイロットになるシーブックに辻谷耕史。ヒロインであり政治的ストーリーの中心人物セシリー(ベラ・ロナ)に冬馬由美。。セシリーの父にして強化人間のカロッゾ(鉄仮面)に前田昌明。ナデイアに坪井章子、ドレルに草尾毅、シオに大木民夫、ジレ・クリューガーに小林清志他。
ストーリー内容は少ないスペースではちょっと無理なので導入部だけはしょって書きますので興味のある方はビデオ・DVDをご覧ください。サイド4のコロニーフロンティア1が「クロスボーン・バンガード」により攻撃され徐々に制圧される。この攻撃で民間人の多くが巻き添えを食って死亡していく。高校生のシーブックは仲間と共に脱出を試みるが、仲間の一人セシリーをクロスボーン・バンガードのモビルスーツが体制のマスコットとして迎え入れるために捜索・飛来して彼女を連れて行く。ロナ家の娘としてクロスボーン・バンガードの一員となったセシリーはやがて戦場でガンダムF91に搭乗するシーブックと相対することになる。一方スペースボートで脱出を試みたシーブックたちは軍訓練船と合流、シーブックの母の開発したモビルスーツF91に搭乗することになり、ニュータイプとしての素質を開かせていく。最後のシーンではセシリーの父カロッゾの操るモビルスーツ「ラフレシア」との一騎討ちをニュータイプの開花と共に制し、宇宙空間に飛ばされたセシリーを研ぎ澄まされたシーブックの感性が見つけ出して救出したところで終わっている。未完結の大作と言っていいと思う。制作事情などは一切こだわらずに見て欲しい。
劇中とエンディングに流れたのは「ETERNAL WIND 〜ほほえみは光る風の中〜」。「機動戦士Zガンダム」の主題歌を歌った森口博子がこの記念作品に抜擢されて歌っている。作詞は西脇唯、作曲は西脇唯・緒里原洋子、編曲は音楽指揮の門倉聡。
曲も映画も制作事情でしり切れとんぼになった不運な作品。ちょっと惜しいです。
