劇場版「銀河英雄伝説〜わが征くは星の大海〜」は1988年の作品。ビデオシリーズ発売前の「銀河英雄伝説」のパイロットフィルム的な役割もこめて制作されたとか。あの長大な物語のどのエピソードを取り上げるかというのは大変な選択作業だったと思う。ここを見ただけで全体像を掴むことができるものでなくてはいけないし、物語を知っている者にとっては文章の中のキャラクターがどのように映像化されるかも重大な問題。結果的には見事な選択だったと思う。
この作品の一番の見所は第四次ティアマト会戦で先鋒のライハルトの艦隊が右へ回頭して帝国軍と敵軍の間を進行する場面。ラインハルトがシリーズ中、唯一無茶な賭けをした場面でもある。キルヒアイスに諌められて「もう二度とやらない」と応えている。ここでのBGMにはラヴェルのボレロが使われている。その効果は抜群、忘れ得ない映像音楽となっている。ご存知「銀河英雄伝説」のBGMにはクラッシック音楽が使われている。
この作品での重要なもうひとつの場面はラインハルトとヤンの邂逅の場面であるレグニッツアでの戦いのシーン。帝国軍は遠征から戻ったばかりのラインハルト軍に対してイゼルローン要塞への駐留を命令。イゼルローン要塞へ向かう。一方同盟軍はレグニッツア星域へ侵攻する。イゼルローン入港を前にラインハルトは長旅で疲れているから対応は駐留軍に任せるようにキルヒアイスに言うが、要塞司令部からは近くにいるライハルトに対応するよう命令する。要するに冷遇されているわけだが、ここでライハルトは見事な作戦で自軍に被害なく敵艦隊の4/5を殲滅する。僕は帝国軍ファンで同盟軍やヤンには全然興味はない。レグニッツアは記念すべきラインハルトとヤンの邂逅だが、ここでヤンが戦死していても別段どうでもいいことだが、それでは後の話が続かないから良しとしておこう。
このレグニッツアの邂逅の場面で使われているのがニールセンの交響曲四番「不滅」の第四楽章。既成の音楽を用いてこれほどピッタリ映像と合わせたものは他にない。「不滅」の第四楽章を聞くと条件反射的にレグニッツアを思い出すほどすばらしい。
NOTE
ニールセンは(1865〜1931)はデンマークの国民的作曲家。北欧ではシベリウスと共に有名だそうだが、日本では余り知られていない。
2004年09月14日
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