
中学時代から神話が好きで、僕にとっては旧約聖書は神話物語でした。「バベルの塔」は創世記に出てくる塔ですが、その名前は見当たりません。後に「バベルの塔」と呼ばれるようになったということです。一般的には「人が神に届こうとしたために天罰が下って破壊された」ということになってますね。創世記では神によって建設半ばで阻止されています。
アニメの「バビル2世」はこの「バベルの塔」を題材にして別のストーリーを描いています。地球に漂着したバビル1世は宇宙船が壊れたので救援を呼ぶために、地球人の力をかりて巨大な塔を作ります。バビル1世の持つ異星人の力を畏怖した地球人は協力しますが、科学的知識が不足しており塔は建設半ばの事故で上部が破壊されてしまいます。
ブリューゲルの「バベルの塔」については恥ずかしながら全く何の知識も持っていませんでした。神話の時代、旧約聖書の時代の破壊された「バベルの塔」を描いた作品だろうと漠然と思っていました。今日実物を見てそれが全然違っていることに唖然としました。思ったよりずっと小さい。そしてブリューゲルは彼の生きた16世紀に建設途中の「バベルの塔」を再現しているのでした。塔の周辺に描かれている景色は16世紀の港であり農村の姿です。塔は破壊されたものではなくて、今なお建設が進む様子が描かれています。
神話の世界を夢見て、あるいはアニメの世界を夢想して見に行った僕にとっては、全くの期待外れで、砂漠の砂の嵐に隠された最上部が爆発によって破壊された「バビルの塔」ではなく、建設の途中で放置された「バベルの塔」でもありませんでした。
