
「電送人間」は1960年に東宝が製作、公開した特撮映画。「美女と液体人間」に続いて製作された“変身人間シリーズ”の第2作。製作は田中友幸、脚本は関沢新一、音楽は池野成、特技監督は円谷英二、監督は福田純。カラー85分。
終戦当時、陸軍中尉・大西正義は敗戦の混乱に乗じて軍の資金(金の延べ棒)を横領しようとしたが、運ぶ際にあまりの重さに落とした箱の中身を須藤は見てしまう。大西、隆、滝、塚本は阻止しようとした須藤兵長を銃剣で刺し仁木博士と共にダイナマイトを使って洞窟内に生き埋めにしてしまう。後日、大西らが洞窟に金の延べ棒を回収するために出向いたが金の延べ棒も須藤、仁木博士の遺体も発見することはできなかった。それから時を経て、遊園地のスリラーショウで呼び出された塚本が銃剣で刺し殺されるという事件が起こる。
大西らは次々に送られてくる脅迫状から須藤兵長が生きており、かれの復讐であることをつきとめるものの、神出鬼没の須藤に隆が殺され、事件の子細を話し警察に保護を願い出る。新聞記者の桐岡は友人の刑事・小林とともに須藤が中本と名を変え仁木博士と軽井沢の別荘でひっそり暮らしていることをつきとめる。仁木博士の発明した物質電送機を使って須藤は犯行を行っており、ありばいを崩せないでいた。滝が殺され、とうとう大西も殺して復讐を達成した須藤は物質電送機で軽井沢へ逃亡しようとするが、須藤の犯行を知った仁木博士が受信側の電送機を破壊して電送失敗の末に須藤は消滅してしまう。
現代のドラマや映画、アニメにしてもこのような作品なら、事件後のエピローグを付けるのが普通だが、この作品は須藤の消滅と共に「終」でプッツリ切れてしまったような感覚を受けてしまう。また須藤が犯行後、逃亡している最中にバリバリと電送の余韻のように電気を発する場面が何度もあるが、電送機を出てしまえば普通の人間。何か意味があるのかと気になって見ていたものの、ストーリーには全く関係なかった。ちょっと「電送人間」にこだわり過ぎかなと。
