
「北斗の拳」の名言というと一番はやはり「お前はもう死んでいる」でしょうが、「蒼天の拳」ではそれに当たる「ニイイチンスラ」(儞已經死了)は、原作ではどうかはともかくアニメではそれ程多用されていません。中国語ということもあり、日本人には言葉のインパクトがないからでしょうね。それにひきかえ「朋友」(ポンヨウ)という言葉が非常に重い言葉として多用されています。
現代中国語では朋友というのは日本語の親友ほどの意味もない、あるサイトの表現を借りると「中国で朋友を作るのは日本で友達を作るよりもずっと簡単」、軽い意味のようです。それが「蒼天の拳」になると朋友が俄然重い意味を持ってきます。
だいたい「北斗の拳」でもそうですが、「友」は「友達」ではなくて「盟友」であり「宿敵」をも指しますからもはや中国語ではなくて、この作品の造語と言っていいのでしょう。
李永健が霞拳志郎が上海に忘れたお守りを届けるために、足指を全て切断されるという拷問に堪えてまで成し遂げニコニコ顔で拳志郎に言います、「同道朋友(ポンヨウ)を売らず!、これが青幇(チンパン)よ」。これを機にして霞拳志郎は上海へ戻ることになります。「朋友」(ポンヨウ)は「蒼天の拳」の最重要ワードですね。
ちなみに旧友のことを中国語では老朋友(ラオポンヨウ)と言うそうです。けして歳を取った友のことではありません。同じような表現はフランス語にもあって「vieux」(古い、歳をくった)という言葉を名詞として使うと「vieil ami」(旧友)のことを指します。
