2020年09月03日

「リズと青い鳥」(1)



 「リズと青い鳥」は2018年4月に松竹の配給で公開された劇場版アニメ作品。「響け!ユーフォニアム」の続編かつ番外編。構成としてはテレビ版を見ていなくても理解できるように制作されているが、やはり時系列的な理解も含めてテレビ版を見ていないと面白味は半減すると思います。
 原作は武田綾乃の「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」、監督は山田尚子、脚本に吉田玲子、キャラクターデザイン・総作画監督に西屋太志、音楽は牛尾憲輔、音楽制作にランティス、制作は京都アニメーション、製作は「響け!」製作委員会(京都アニメーション、ポニーキャニオン、バンダイナムコアーツ、楽音舎)、90分。
 テレビ版「響け!ユーフォニアム2」の後、黄前久美子らが2年生になった年、3年生のオーボエの鎧塚みぞれとフルートの傘木希美を主人公に据えて北宇治高校吹奏楽部の活動を描く青春ストーリー。絵本である「リズと青い鳥」の物語を挟み込みながらみぞれと希美二人の思いを描いていく。特に冒頭が印象的な「言葉」を挟み込まない沈黙の時間、足の運び、靴音、揺れる髪の毛の描写は斬新で美しい。いかにも劇場版という感じがします。ただ、あまりに長すぎて僕は好きにはなれません。この沈黙の描写は非常に評価が高いですが、人は言葉にしないと理解できないです。最後の場面でもみぞれと希美はお互いの言葉をぶつけることで歯車はかみ合いますから。更にBGMの使い方は秀逸です。テレビ版に比べて吹奏楽部の演奏風景が少ない分だけBGMが見事に活きています。

★ストーリー
 鎧塚みぞれと傘木希美が3年生になった年。吹奏楽部の自由曲が「リズと青い鳥」に決まる。その第3楽章にフルートとオーボエの掛け合いがあるのだが、二人が吹くその部分は上手くかみ合わない。絵本「リズと青い鳥」ではリズは青い鳥を籠から出して解き放つ。みぞれはその気持ちがわからない。この掛け合いの部分はみんなが違和感をもっていて、当の二人の歯車はかみ合わないまま空回りする。
 進路希望調査を白紙で提出したみぞれは新山先生から音大進学を勧められる。希美も同じ大学を受けるというので音大受験を決める…。みぞれは大好きな希美と離れたくなくて苦しむ。リズは自分、青い鳥は希美。でも、「自分が青い鳥だったら」との新山先生の言葉にみぞれはリズを理解するに至る。第4キャプチャーのみぞれの演奏が圧巻です。
posted by KAZU at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション