2017年05月09日

「首都消失」(4)



 東京が雲に覆われてしまうということで、政治・報道の中心が大阪、調査・技術の拠点が筑波に置かれて描かれる。大阪人にとっていきなり大阪城、京橋ビジネスパーク、阪神高速が映し出され、見覚えのある景色にワクワクする。ツインタワーもうこの時期にはあったんや。ただ阪神高速で守口線との分岐を通ってますが、守口線に入らずに環状線を回って目的地が新大阪駅。どこをどう通って行ったんでしょう。



 本作では自衛隊、アメリカ軍、警察、海上保安庁などの撮影協力を得て数々のメカニックが登場していますが、雲の壁を破壊するために作られた架空のメカ・SCMトラックが2両登場しています。三菱扶桑のトラックに超伝導電磁石を応用した機器を搭載しています。ストーリーでは10両ほど作られているようですが、実際には2両のみ。



 渡瀬恒彦さんはSF特撮の出演は少ないが、「復活の日」にも南極観測隊員として出演されている。もっともその時は半狂乱の内にブリザードの中に飛び出して行って行方不明になってます。本作では主人公。その主人公を食ってしまう程の名演技を見せるのが大田原教授を演じる大滝秀治さん。大滝さんお得意の温厚で優しく語っているが突如激昂、とまではいきませんが熱弁する場面がありました。大田原教授が休んでいない朝倉を誘って鮎料理を食べに行った場面。朝倉の娘・佐和子が日本がダメになるという噂に不安つのらせるが絶対にそんなことはないと語る。人を説得するというのはこういうふうにするものだ、というお手本みたいな語り口。お見事です。
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2017年05月07日

「首都消失」(3)



★キャラクター&キャスト
○朝倉達也 / 渡瀬恒彦
 本作の主人公。北斗電機技術開発部長。大阪から東京本社へ会議のために向かっていたが、雲に遮断される。雲の中には妻と息子がいる。

○小出まり子 / 名取裕子
 本作のヒロイン。フリーのテレビキャスター。朝倉と同じ新幹線で東京へ向かっていたのが縁で朝倉と同行することに。雲の中には母と娘がいる。

○大田原権蔵 / 大滝秀治
 筑波大学電子工学教授で北斗電機の技術顧問。東京を覆った雲「物体O」の正体解明に尽力する。

○佐久間英司 / 夏八木勲
 航空自衛隊二等空佐。朝倉の学生時代からの友人。朝倉と同じ新幹線で東京へ向かっていた。

○中田代議士 / 丹波哲郎
 前民主党幹事長。国会開催中であったが病気療養で東京を離れていたため、雲の外にいた。臨時政府樹立のために担ぎだされる。

○堀江 / 竜雷太
 外務省国際局次長。職務で東京を離れていたため雲の外にいた。外交トップとしてアメリカとの交渉に同席。

○小室達夫 / 渡辺文雄
 大阪府知事。中田代議士に協力を要請し、全国知事会を中心に臨時政府樹立を目指す。

○川村 / 財津一郎
 関西放送報道部長。

○田宮洋介 / 山下真司
 関西放送報道部員、小出まり子の彼氏。

○小山 / ザ・ぼんち・おさむ
 関西放送報道部カメラマン。

○松永美恵子 / 石野陽子
 北斗電機研究所の女性フタッフ。

○朝倉由美子 / 平淑恵
 朝倉の妻。冒頭で朝倉との電話の場面、ライフラインが止まっていく様子が描かれる場面にのみ登場する。

○朝倉佐和子 / 濱田万葉
 朝倉の娘、中学生。学校の行事で東京を離れており、京都のおばの家にたどりつく。

○安原 / 岸部一徳
 北斗電機研究所員。

○安原敬子 / 海老名みどり
 安原の妻。

○双子の兄弟の祖父 / 三木のり平

○双子の兄弟の祖母 / 浅利香津代

○小出梅子 / 加藤治子
 小出まり子の母。

○三好大一郎 / 石橋蓮司
 郵政大臣秘書。

○松村冬風 / 松尾豊
 雲の壁の近くで閉じ込められた仲間を思って歌う盲目の青年。
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2017年05月06日

「首都消失」(2)



 ある日、突如東京を中心に霧が発生する。時季外れの霧を訝しげに眺める内に電気、ガス、水道が止まる。東京は厚い雲に覆われてしまい外部と遮断される。東京に戻ろうとしていた北斗電機の技術開発部長・朝倉と学生時代の友人で航空自衛隊二等空佐・佐久間、テレビキャスター・小出まり子は同じ新幹線に乗り合わせており、同行することに。北斗電機の技術顧問で筑波大学電子工学教授の大田原は雲の正体を解明するため調査に乗り出す。一方政治の核を失った日本に対し、アメリカ・ソ連の戦略的動きが始まる。大阪府知事を中心に全国知事会が臨時政府の樹立に動く。前半は原作に近い形で淡々とそれぞれの人物が個々の職務を全うする様を描いていく。



 後半は雲に閉じ込められた人々を助けようと懸命に動く人々を人間ドラマで描く場面が強調される。東京が雲で遮断された後は一切中の様子は描かれることはない。外からの調査の結果と憶測だけで話は進む。政治的には国連の安全保証理事会にアメリカから日本の信託統治案が提出された時点で中田代議士が臨時政府の樹立を決意するが、事がなされる前に雲が消失して物語は終わりを迎える。
 この作品の残念なところは雲の正体が何であったかということが明らかにされていない点だが、後半のヒューマンドラマはそれを帳消しにしてしまう程に素晴らしいと思う。






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2017年05月05日

「首都消失」(1)



 渡瀬恒彦さんが亡くなって2か月近くが過ぎました。生前に収録したテレビ番組はほぼ出終わったとところでしょうか。3月下旬に放送されたアガサ・クリスティ原作の「そして誰もいなくなった」の判事役、味がありましたね。この作品は有名で犯人を最初から知っている人も多かったでしょうから、注視するのですが仕種がさりげない。存在感が大きかったです。
 テレビシリーズの「おみやさん」は「2」で勝村美香さんがゲスト出演してから見始めたんですが、ハマリ役でした。若い頃の作品ではもっと堅い、厳しい性格の役柄が多かったように思うのですが。
 特撮やアニメからは縁遠い人で出演作品は少ないのですが、ひとつだけ上げますと小松左京原作のSF映画「首都消失」が記憶に残っています。主人公の朝倉を渡瀬恒彦さんが相手役のヒロインを名取裕子さんが演じておりました。映画としては僕は小松左京ファンでSF大好き人間ですから、確かに最後霧が晴れて事の解明がなされないままストーリーが閉じてしまうのはもの足りませんが、原作の淡々と描くSF小説とは異なり、ネット上の批評は駄作扱いをする方が多いですが、どうして後半のヒューマンドラマはなかなか名作だと思います。キャストも豪華でそれぞれが持ち味を活かしていてステキです。殊に大滝秀治さんの演技は主役を食う程の名演です。



 「首都消失」1987年東宝配給で公開されたSF特撮映画。原作は小松左京の同名小説。監督は舛田利雄、音楽はモーリス・ジャール。製作は「首都消失」製作する会(関西テレビ、徳間書店、大映)、第6回日本SF大賞受賞作品。多くの撮影協力を得て機材、航空機、車両等々に実物が使われ、臨場感のある画面を構成している。ストーリー上、大阪の景色所々に登場して大阪人としては見慣れた光景に親近感を覚える。
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「暦物語」(3)

★主題歌
 各話のオープニングテーマはヒロインのキャラクターソングが使われています。映像は原則過去のものをそのまま使っていますが、タイトルは「暦物語」に入れ換えられています。
(第一話)「perfect slumbers」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁(MONACA) / 歌 - 羽川翼(堀江由衣)
(第二話)「staple stable」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁 / 歌 - 戦場ヶ原ひたぎ(斎藤千和)
(第三話)「帰り道」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁 / 歌 - 八九寺真宵(加藤英美里)
(第四話)「ambivalent world」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁 / 歌 - 神原駿河(沢城みゆき)
(第五話)「恋愛サーキュレーション」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁 / 歌 - 千石撫子(花澤香菜)
(第六話)「marshmallow justice」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁(MONACA) / 歌 - 阿良々木火憐(喜多村英梨)
(第七話)「白金ディスコ」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - 神前暁(MONACA) / 歌 - 阿良々木月火(井口裕香)
(第八話)「decent black」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - ミト / 歌 - 忍野扇(水橋かおり)」



(第九話)「mein schatz」
作詞 - meg rock / 作曲 - ミト / 編曲 - ミト、高田龍一
(第十話)「オレンジミント」
作詞 - meg rock / 作曲・編曲 - ミト / 歌 - 斧乃木余接(早見沙織)

 第十一話の影縫余弦と第十二話の臥煙伊豆湖には対応するキャラクターソングがないため、オープニングはなし。
 エンディングは「whiz」。作詞・作曲は渡辺翔、編曲は倉内達也、歌はTrySail。本作での新曲になる。
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2017年05月04日

「暦物語」(2)

 12話のタイトルは以下の通り。各話のヒロインの写真をあげてみました。

第一話 こよみストーン


羽川翼

第二話 よみフラワー


戦場ヶ原ひたぎ

第三話 こよみサンド


八九寺真宵

第四話 こよみウォーター


神原駿河

第五話 こよみウインド


千石撫子

第六話 こよみツリー


阿良々木火憐

第七話 こよみティー


阿良々木月火

第八話 こよみマウンテン


忍野扇

第九話 こよみトーラス


忍野忍

第十話 こよみシード


斧乃木余接

第十一話 こよみナッシング


影縫余弦

第十二話 こよみデッド


臥煙伊豆湖

 あらすじはここに書くよりも見ていただくのがベストでしょう。怪異もなにも係わらない現実的な話として「こよみサンド」には感心した。

 おまけはこの人。


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2017年05月03日

「暦物語」(1)

 「暦物語」は2016年にネット配信された物語シリーズのアニメ作品。原作は勿論西尾維新による「暦物語」で、「化物語」以降の阿良々木暦の高校3年生の一年を12のショートストーリーで綴っている。内容は時系列に沿って並べられていて「化物語」本編の内容に触れることはあるが、基本的に新たなストーリー。
 原作は西尾維新、監督は板村智幸、キャラクターデザインに渡辺明夫、音楽は神前暁、音楽制作はアニプレックス、制作はシャフト、製作はアニプレックス、講談社、シャフト、全12話。
 最初の方はたわいもない、勿論一般人にとってではなくて怪異のはしくれである暦にとってだが、日常の一コマ。毎回ヒロインが登場して暦と語る。ところが第十話の「こよみシード」辺りから何やら意味深長になってくる。そして衝撃的な「こよみデッド」、タイトル通り暦が臥煙伊豆湖によって秘刀「怪異殺し」で消されてしまい幕を閉じる。まあ、勿論暦がそこで死んでしまっては話にならないので、エピローグで不思議なところで目を覚ますのだが。

 一番恐かったのはこれかな(笑)。暦に届いた戦場ケ原からのメール。

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