2016年06月29日

「地球防衛軍」(2)

白川由美さん追悼記事。



★キャスト
○渥美譲治:佐原健二
 本作の主人公。天体物理学者。調査団には加わったが後の作戦には参画していない。
○白石亮一:平田昭彦
 天体物理学者。渥美の同僚で「ミステロイドの研究」の著者。研究の中でミステリアンの存在をいち早く知り、接触。彼らの言い分を尤もだと協力していたようだが、最後に騙されたと知りドームを破壊する。
○安達謙治郎:志村喬
 天体物理学博士。白石、渥美の上に立つ権威。
○白石江津子:白川由美
 本作のヒロイン。白川亮一の妹、渥美の恋人。
○岩本広子:河内桃子
 白川亮一の恋人であり婚約者だが、白石から一方的に婚約を破棄される。
○森田:藤田進
 日本の防衛軍司令官、後に地球防衛軍指令。「ウルトラQ」「ウルトラセブン」「帰って来たウルトラマン」と艦長、長官等々司令官職が似合う人です。
○ミステリアン統領:土屋嘉男
 ミステリアンの長。ヘルメット、マント、サングラスをかけていて顔はよく見えない。
○リチャードソン博士:ジョージ・ファーネス
○インメルマン博士:ハロルド・エス・コンウェイ


旅館で入浴中にモゲラが襲来する。ストーリーには全然関係ないサービスカット(笑)
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2016年06月28日

「地球防衛軍」(1)

白川由美さん追悼記事。



 「地球防衛軍」は1957年に東宝で公開された東宝の特撮SF映画。原作は丘美丈二郎,製作は田中友幸、音楽に伊福部昭、特技監督に円谷英二、監督は本多猪四郎、カラー作品88分。
 科学の進歩と核をテーマにしたSF作品で、後に「モゲラ」と呼ばれるようになる巨大ロボットが登場する。この作品では一切呼称はなく単に「ロボット」と呼んでいるのみだが、このモゲラの造形が斬新で、その初登場作品としてタイトルは有名。
 富士山麓の村で木が根元から燃えていくという奇怪な山火事が発生。さらにその村そのものが地中へ沈み込むという大きな山崩れが発生する。その村に住んでいた天体物理学者の白石亮一も山崩れに巻き込まれた。白石の同僚で友人、その妹と親しい渥美譲治は現地の調査に加わる。その途中、突如地中から現れた巨大ロボットに襲われる。ロケット砲や火炎放射器の攻撃にもびくともしない。防衛隊は鉄橋を爆破してかろうじでそのロボットを破壊する。ロボットの破片から地球上にない合金でできていることが分かる。人為的な山崩れ、放射能の検出、渥美たちが見た空飛ぶ円盤、地球外からの生命の可能性に安達賢治郎博士は白石の論文「ミステロイドの研究」を公表する。
 調査隊が富士山麓に入ったその目の前に巨大なドームが現れ、自らをミステリアンと名乗り科学者5人をドームに招いて、ドームから半径3キロの土地の割譲と地球人の女性との結婚の許可を求めてくる。彼らは火星と木星の間にあった遊星の生命体で核戦争により母性を失い、放射能によって生殖機能が衰えており、新たな住処と子孫の繁栄のために地球へやって来たのだった。
 既に女性を拉致し、平和を望むという割に威圧的なミステリアンに日本政府は攻撃を仕掛けるが高度な科学力のためドームにダメージを与えることすらできない。
そんな状況の中でテレビの画面を通じて行方不明になっていた白石が現れミステリアンの科学力の高さ、地球人の愚かさを訴える。諸外国からの援助を受けて空中戦艦α号、β号を完成、ミステリアンに対して2度目の総攻撃を仕掛けるが熱光線による攻撃でβ号を失って敗北する。
 地下に要塞を建設しドームから半径120キロの土地を要求するミステリアン。白石は「勝つのは、地球人でもミステリアンでもなく科学だ」と言う。「それでも我々は戦わなければならない」とミステリアンの熱光線に耐えるマーカライト、パラボラ戦車・マーカライトファープ、マーカライト塗装したα号、電子砲を搭載したβ号で決戦を挑む。マーカライトの対抗力は75分。やっと攻勢に出た地球人であったが、熱光線、モゲラ、人工洪水と反撃するミステリアンに決めてが出ない。マーカライトの効力消滅まで後5分というところでβ号への電子砲の搭載が完了。出撃したβ号の攻撃でミステリアンはドームを破壊され宇宙ステーションへの退去を開始し地球側が勝利する。
 一方、渥美は拉致された白石の妹・江津子たち女性を助けるために偶然発見したミステリアンの要塞の工事現場から要塞内に潜入。要塞内部から破壊工作を行うが見つかって捕まってしまう。ミステリアンの幹部に連行されていくと、そこには拉致された女性たちがいた。その幹部は白石だった。「ミステリアンに騙されていた」「まだやることがある」と白石は一人要塞内部に戻って行き、破壊工作を続ける。地球人の勝利の裏には渥美と白石の内部からの破壊があって成功したのだった。
 撤退していくミステリアンの円盤に攻撃を加えるβ号。安達博士は「彼等は永遠に宇宙の放浪者です。我々は決して彼等の轍を踏んではならない」と話し、映画は幕を閉じます。


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2016年06月25日

訃報・白川由美さん



 去る6月14日に女優の白川由美さんの訃報が流れました。年齢的には完全に親の世代の方でテレビで見た姿は子ども時代に既におばさんでしたから、余り印象がありません。ところがちょっと時代を遡って1950年代から60年代の始めのころの東宝の特撮映画に「白川由美」の名前を度々見かけます。

「空の大怪獣ラドン」(1956年)
 主人公の恋人役」 - キヨ
「地球防衛軍」(1957年)
「美女と液体人間」(1958年)
「電送人間」(1960年)
「妖星ゴラス」(1962年)

 いずれもヒロインで重要な役所を演じます。「空の大怪獣ラドン」のキヨなどは特撮とはおよそ無縁な雰囲気なんですが、どうしてこう次々と特撮に抜擢されたんでしょうね。
 どの作品も視聴するのがやや難しい状態になりつつありますが、この機会にもう一度映画を見ながらご冥福をお祈りしたいと思います。
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2016年06月21日

「言の葉の庭」(4)



★主題歌
 エンディングに流れた曲は「Rain」。大江千里の曲を秦基博がカバーしている。
作詞・作曲は大江千里、編曲は皆川真人。

★短歌
 この作品のキーポイントになるのは万葉集から引用された柿本人麻呂の短歌でしょう。作中では短歌一般的な七五調で詠んでいますが、ここは万葉の短歌らしく五七調で詠むべきかと思います。五七・五七・七

・雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて
 さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ

 女性の方から歌を詠み、男性が返歌を詠む問答歌。
 雷が鳴って雲が出て雨が降ったらあなたを引き止められるのに、と歌います。
 それに対して男は、

・雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて
 降らずとも われは留らむ 妹し留めば

 雷が鳴って雨が降ってこなくても、僕はここにとどまります。君が引き止めさえしてくれれば、と返します。
 ユキノはこの歌を詠むことで自分が古典の教師であることをタカオに気づかせようとした、と言ってますが、物語が進むほどに大きな意味合いを持ってきます。

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2016年06月20日

「言の葉の庭」(3)

★キャラクター&キャスト
○秋月孝雄(あきづきたかお) / 入野自由
本作の主人公。高校1年生、15歳。靴職人を目指している。父親のいない母と兄との暮らしの中で育ったせいもあり、15歳にしては大人びた性格。料理も得意。

○雪野百香里(ゆきのゆかり) / 花澤香菜
本作のヒロイン。タカオの通う高校の古典の教師、27歳。マンションで独り暮らし。味覚障害を患っている。

○タカオの母 / 平野文



セリフを伴って登場するのは1シーンのみ。タカオ曰く若く見える、47歳。年下の彼氏とつきあっている。

○タカオの兄 / 前田剛
タカオとは少し年の離れた兄、26歳。彼女と同棲を始め家を出る。

○タカオの兄の彼女 / 寺崎裕香
1シーンしか登場しないが、キャラクターの少ない作品なので、1コマを埋めるキーキャラクターのひとり。

○松本 / 井上優



タカオの学友。一学年上の佐藤とつきあっている。

○佐藤 / 潘めぐみ



タカオの通う高校の2年生で松本の彼女。タカオは彼女からユキノに嫌がらせをした生徒・相沢の名前を聞き出す。

○相沢 / 小松未可子



高校3年生。ユキノを嫌がらせて追い詰めた主犯格らしい。タカオはそのプライドの高い態度にピンタを喰わすが、取り巻きの男子生徒に殴り返されるいことに。

○伊藤宗一郎 / 星野貴紀
タカオの高校の担任。明らか体育系の教師。以前ユキノとつきあっていた。ユキノのことを気にかけているようだが、電話中が描かれたシーンから見るにちゃんと奥さんがいる。
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2016年06月18日

「言の葉の庭」(2)



 夏休みが明けたある日、タカオは学校の廊下でその女性ユキノとすれ違う。ユキノが学校の古文の先生で、生徒の嫌がらせを受けて登校拒否、退職に追い込まれたことを知る。ユキノを追い込んだ3年生の女生徒を聞き出し平手打ちを食わせ、取り巻きから殴られる。庭園に向かったタカオは「雷神の少し響みて降らずとも我は留らむ妹し留めば」万葉集の返歌をユキノに返す。突然土砂降りになり、ユキノのマンションでユキノはタカオの濡れた服を乾かし、タカオは料理を作る。この状況に幸せを感じる二人だった。「僕はたぶんユキノさんのことが好きです」この言葉がきっかけに、二人は言葉をぶつけ合う。本来成就する「恋」ではないのだけれどぶつけ合う「言葉」に最後は通じ合ったと思う。「二人とも歩く練習をしていたんだ」。SFはちょっと、という方に新海監督の映画は勧めづらいところがありますが、この作品は是非、とお勧めしたいです。

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2016年06月17日

「言の葉の庭」(1)

 忙しくて記事を書く時間がありませんでした。やっとこさ更新です。



 「言の葉の庭」は2013年5月に公開された新海誠監督の「星を追う子ども」に続く劇場公開5作目のアニメ作品。監督・脚本・原作・絵コンテ・演出・撮影監督・色彩設計・編集 は新海誠、音楽はKASHIWA Daisuke、制作は新海クリエイティブ、コミックス・ウェーブ・フィルム、配給は東宝映像事業部。キャッチコピーは、「"愛"よりも昔、"孤悲"のものがたり。」、46分。
 冒頭から、何という画の美しさ。新宿御苑をモデルにした有料の庭園のベンチ、雨降る風景。新海監督の見事なまでの描写に最初から圧倒されてしまいます。高校1年、靴職人を夢見る秋月孝雄は雨の日は電車に乗らずに庭園で靴のデザインを考えながら過ごしていた。ある日、そこで朝から会社にも行かずチョコレートをアテにビールを飲む女性に出逢う。タカオの制服に目をとめたその女性は「なるかみの少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ」と短歌を言い残すと去っていく。梅雨に入り、雨の日のみの逢瀬が始まる。タカオは靴職人への憧れを語り、味覚障害を患う女性はタカオの作る弁当に味覚を取り戻しつつあった。女性はタカオに「靴作りの本」をプレゼントする。タカオは彼女のために靴を作り始める。やがて梅雨は明け雨が全く降らない日が続く。ここまでは先の展開を全く読めない、ちょっとわくわくした気分で見られるんですが、ここからが急転直下です。
(つづく)
posted by KAZU at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション