2016年05月14日

「秒速5センチメートル」(1)



 新海誠監督が2007年に世に送り出した3作目の作品。前2作がSF作品であったが、この作品は若き男女の日常を描いた作品でSFの香りは全くない。監督・脚本・原作・絵コンテ・演出・キャラクター原案・美術監督・色彩設計・撮影・編集・3DCGワーク・音響監督を新海誠監督が手がける。音楽は天門、アフレコ演出に三ツ矢雄二、配給はコミックス・ウェーブ、3つのショート作品からなる。全63分。サブタイトルは「a chain of short stories about their distance」。

★第1話「桜花抄」(28分)
“ねえ、秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル。”と明里が冒頭に語るところから物語はスタートする。舞台は東京の小学校。転校生どうしの遠野貴樹と篠原明里は、それぞれの似た境遇からか互いに引き合い特別な想いを抱く。同じ中学へ通うと思っていたが、明里は小学校卒業と同時に栃木へ転校する。そのまま会うこともないまま半年がたった夏の日に貴樹は明里から手紙を受け取る。そこから文通が始まる。ところがその年の冬に今度は貴樹が親の転勤で鹿児島へ転校することになる。今までは会おうと思えば電車で会いに行ける距離であったが、今後は違う。「二度と会えなくなるかも」という想いが貴樹を栃木へ向かわせることに。明里に会いにむかったその日、関東は大雪となり19時の約束から3時間以上も経ってやっと明里の待つ駅に到着する。「もう家に帰っていてくれ」、そんな想いとは裏腹に明里は駅でずっと貴樹を待っていた。道中の貴樹の不安な想いの描写は芥川龍之介の「トロッコ」を読むようだ。ただ大きく違うのは「トロッコ」の 良平は帰りたいという思いに駆られるが、貴樹はただ先へ先へ行くしかないというところ。再会から別れまでのぎっしりと想いの詰まった時間はあっと言う間に過ぎる。

posted by KAZU at 09:44| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション