
「いつかゆきのひに」は2014年2月に発売された「夏目友人帳」のオリジナルストーリーOVA。原作は緑川ゆきの漫画 「夏目友人帳」(白泉社「月刊LaLa」連載)、キャラクターデザイン・作画監督は田晃、妖怪デザイン・作画監督は山田起生、脚本は吉永亜矢、総監督は大森貴弘、監督は出合小都美、制作はブレインズ・ベース、NAS、製作は「夏目友人帳」製作委員会。
久しぶりに制作された「夏目友人帳」の1ストーリー。「夏目友人帳」はテレビシリーズが立て続けに4作も作られ、さすがに4本目は感動のエピソードが少なかったのですが、その実力と人気は健在。本作はオリジナルストーリーということで期待度は低く、案の定感動バロメーターも上がらなかったのですが、最後の最後のシーンでウルっとくるところはさすがです。もうちょっと感情移入しやすい何かがあればよかったかな。自らが消えるためのさがしもの、成就して満足げなゆきはなは悲しげな顔をする夏目に「そんな顔をするな」と言いますが、夏目の気持ちの半分も視聴者には届いていないと思います。夏目に触れかけて消えていく手が悲しい。

ある冬の日、雪が舞い始めたので夏目は塔子さんにことわって散歩に出かける。調子にのって遠くまで行ってしまい、「ニャンコ先生と一緒でないしまずいかな」と引き返し始めると雪だるまのお化けのような妖に出会う。「まずい!」と無視して立ち去ろうとしたが「見えるのか」と気づかれてしまう。この雪のもこもこの妖怪は何かを捜しているようだったが、タイミングを見て走って逃げ帰る。ところ
が夜中に寒くて目覚めるとそのもこもこが部屋にいた。周囲の熱を奪うそいつがいるだけで気温が下がり、ふれたものはカチコチに凍る。もこもこは散歩の時に夏目が落としたマフラーを届けてくれたのだ。夏目は友人帳にその名がないとおぼしきこの妖の捜し物を手伝ってやろうとするのだが。
その妖の名は「ゆきはな」、自らに宿した「種」を見つけて花を咲かせ、種を作って消えてしまう。その姿を見ることは稀だと言う。夏目の心意気に感謝して夏目に触れようとして消えていく姿は儚げ。
★キャスト
ゆきはな / 雨蘭 咲木子
夏目貴志 / 神谷浩史
ニャンコ先生・斑 / 井上和彦
藤原塔子 / 伊藤美紀
藤原滋 / 伊藤栄次