
では改めて作品のご紹介を。「戦闘妖精雪風」は2002年から2005年にかけて製作・発売されたOVAで、原作は神林長平の小説「戦闘妖精・雪風<改>」及び「グッドラック 戦闘妖精・雪風」。原作は“戦闘妖精”と“雪風”の間に中黒があるが、OVAのタイトルには中黒がありません。監督は大倉雅彦、キャラクターデザインは原作の画を担当した多田由美、3D特技監督に竹内敦志、音楽に三柴理、塩野道玄、Clara、協力 - 航空自衛隊、アニメーション制作はGONZO DIGIMATION、製作はバンダイビジュアル、ビクターエンタテインメント、GONZO、全5巻。制作期間が長かったために担当したスタッフは若干異なるようだ。第1巻「OPERATION 1」と第5巻「OPERATION 5」は45分立て、他は30分立てになっている。
設定に関する描写がかなり乏しい作品で、原作を読んでいる人には分かりやすいが、初めて見る人には難解だと思う。殊にメカの部分については僕も原作や資料を参考にさせてもらってやっとこさ理解した。テーマにかかわるところなので、もうちょっと詳しい説明がほしいところだけれど、尺が限られるOVAということで仕方ないのかも。
【OPERATION 1】
南極に突如出現した超空間通路を通じて謎の異星体ジャムが侵攻してくる。地球防衛軍はホームで敵を駆逐して通路の反対側、惑星フェアリィにジャムを押し戻して封じ込めた。しかし敵のホームでは戦闘が膠着して30年以上が経過していた。フェアリィ空軍特殊戦第5飛行戦隊のパイロット深井零は愛機「雪風」と共に戦闘情報を収集することが任務だった。上官ブッカーの「必ず帰還すること」との命令を受けて、出撃するが味方と同型機の戦闘機から攻撃を受ける。それがジャムであると判断した雪風は撃墜するのだが、果たしてどうであったのかは不明。軍の査問の後、任務に復帰した零の前に再び所属不明機が遅いかかり、雪風は大破して動けなくなる。零を強制射出して、データを友軍の偵察機に転送、その後撃破されてしまう。
【OPERATION 2】
雪風に強制射出され命を取り留めた零だったが、意識不明の重体となる。軍で押し進められる無人機の導入に、ブッカーは「戦うのは人間だ」と零の復帰を想定して無人機にコクピットを設けて有人化した新たな雪風を開発する。
そんなある日ジャムの攻撃に出撃した編隊がエンジントラブルとなり、情報収集中だった無人偵察機がジャムを撃退するのだが、次の瞬間、友軍機に攻撃をしかけてきた。この事件がきっかけで無人機開発計画に支障が生じ、零は有人機パイロットとして復帰を認められる。その裏には無人機への不安と有人機の継続実験の意図が隠されていた。
【OPERATION 3】
フェアリィ星の防空の要、2機の巨大空中空母のバンジーの内の1機が着陸してくる友軍機を撃墜するという事故が起こる。調査のため零と技術大尉トマホーク・ジョンの二人が雪風でバンジーIVへ向かう。バンジーに着艦した二人は調査を始める。そして零はバンジーがジャムに犯されているという疑いを深める。突如転進して友軍の基地へ向かうバンジーに撃墜用ミサイルが発射される。バンジーを脱出しようとする零の目の前でジャムが人間をコピーして複製人間を作る光景が広がる。脱出用リフトを手動で操作するトマホーク・ジョンは自分がジャムの複製人間であることを認識して、零を一人で脱出させ、バンジーと共に果てる。
【OPERATION 4】
人類の技術、兵器、そして人間までもコピーしてジャムは戦局を対等あるいはそれ以上に有利に進めていた。そんな中、新型エンジンの燃焼テストのため零とブッカーは地球へ赴く。地球大気圏内での燃焼テストのため通路を通って南極へ向かうが、ジャムの三機編隊も同時に侵攻してくる。南極洋上の日本海軍は応戦するもジャムの力に歯が立たず、空母に体当たり攻撃をかけてくる。雪風は間一髪でジャムを撃破するも燃料切れのため空母に着艦、補給を受けることになる。その空母にはジャーナリストであり「ジ・インベーダー」の著者リン・ジャクスンが取材のため乗艦していた。リン・ジャクスンはここでブッカーと零にコンタクトを持つことになる。
【OPERATION 5】
ジャムによる総攻撃が想定される中でクーリィ准将はライトゥーム中将とリンネベルグ少将をお茶会に招待していた。ブッカーと零、エディス大尉同席していた。そのお茶会の最中にジャムの総攻撃が開始される。ジャムの攻撃に次々と破壊されるフェアリィ空軍であったが、それは実は軍首脳が仕掛けた罠。ジャムに汚染された機器と複製人間を分離してフェアリィ空軍を 全軍地球へ撤退させ、超空間通路をも破壊する作戦であった。ジャムへ寝返ったアンセル・ロンバートをまだ人間であることを認めたまま攻撃する雪風。そして撤退作戦が開始された。しかし雪風と零に興味を持ったジャムは総力をもって通路への行く手を遮ろうとする。雪風を地球への手土産にしようとしたライトゥーム中将だったが、撤退には雪風の出撃が必要とクーリィ准将は雪風出撃をブッカーに命じる。全軍からの援護を受けた雪風と零は通路へ突き進みまばゆい光の中に消える。全軍撤退は成功し、故郷に帰ったブッカーをリン・ジャクスンが訪ねる。