
今年「戦闘妖精・雪風」がトム・クルーズの主演で実写化されるというニュースが流れたようで、そのせいかGyaO!でOVA全5巻の無料配信があった。「戦闘妖精・雪風」は友人が好んで読んでいたので、それに影響されてOVAを見たが、何せ2002年に第1巻「OPERATION 1」が出て、第5巻「OPERATION 5」が出たのが2005年。レビューはその当時記事にしているが、丸3年よくぞスタッフのモチベーションが下がらなかったものだと感心する。戦闘場面のCGは評価が高いようで、ここに時間を要したのかなとも思うのだけれど。
8年ぶりに5巻を通して見て最後の「OPERATION 5」は覚えていたが、前の4巻はストーリーさえ殆ど覚えていなかった。4巻を見てからインターバルが長すぎて記憶のなかでストーリーが繋がっていなかったのだろう。もっとも各巻のエピソードそれぞれに繋がりが乏しいので基本設定を理解していればバラバラに見ても楽しめる作品ではある。
南極に突然出現した「超空間通路」を通して異星体が侵攻して来る。地球人にしてみれば通路からしか侵攻して来ることができない敵をホームベースである地球から排斥して押し戻すことはたやすかったようで、通路を通して向こう側にある惑星フェアリィに謎の異星体ジャムを封じ込めることに成功した。しかしアウェイでの戦いは膠着状態のまま30年が経過していた。FAF(フェアリィ空軍)の特殊戦第五飛行戦隊は偵察機でジャムとの戦いを精査して、友軍を犠牲にしてもその情報を持ち帰るという任務を遂行してきた。それ故、友軍の兵士にさえ「死神」と呼ばれていた。
そんな特殊戦隊に配属された深井零少尉(後に中尉)は高度な人工知能を搭載した戦闘機「雪風」と共に日々ミッションを繰り返す。やがて人工知能と零との間に機械と人を超越した関係がむすばれて「複合生命体」と呼ばれる形へと変化していく。
この作品のテーマはジャムとの戦いで無人戦闘を押し進める軍首脳と、戦いは常に人あってのものとこだわる特殊戦の指令ブッカーのこだわりを通して、「人」の存在意義を問い、機械化への警鐘を鳴らしている。