2012年04月02日

山吹乙女



 「ぬらりひょんの孫〜千年魔京〜」で敵方のボス・転生妖怪羽衣狐を演じたのは能登麻美子さん。「地獄少女」の閻魔あいは感情を押し殺した声ですが、同じ魔の声でも羽衣狐は表情豊かでした。しかし能登さんの声の魅力は陰の声ばかりではなく、やはり陽の声が素敵です。正気を取り戻した山吹乙女の声を聞くとほっとします。
 さて、既出記事の繰り返しになりますが、山吹乙女はかつての鯉伴の妻。妖怪で詳しくは本編中で描かれてはいませんでしたが、人から妖になったそうで妖力を振るう場面はありません。鯉半に見初められて奴良組大将の妻となりましたが、羽衣狐の呪いで子ができないことを知らず、

「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだに なきぞかなしき」

の歌を残して姿を消してしまいます。
 この歌は兼明親王「後拾遺和歌集」の「七重八重 花は咲けども山吹の みの一つだになきぞあやしき」から来ています。高校時代に読んだことがある方も多いのではないでしょうか。太田道灌が歌を志すきっかけとなった逸話に登場する有名な歌です。一重の山吹には実が成りますが、八重山吹はしべが全部花びらに変わってしまっているので実が成りません。本来は帰りに雨になった道灌が蓑を借りようとしますが、貸す蓑がない情けなさから礼儀に外れることを恥じて八重山吹の一枝を渡した逸話から来ていて、山吹を詠んだものではなくて「みの」を「実の」と「蓑」に掛けた、「蓑がなくて大変申し訳ありません」という歌なのです。「七重八重」から「山吹の」までは枕詞のようなものなのですが。山吹乙女はこの古歌をストレートに山吹を詠んだ歌として使ったのですね。
posted by KAZU at 08:24| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション