2011年08月06日

「エスパイ」



 「エスパイ」は1974年に東宝から公開されたSFアクション映画。原作は小松左京の長編小説「エスパイ」、監督は福田純、製作は田中友幸、音楽は平尾昌晃、配給は東宝、カラー、94分。
 原作はエロチックなシーンがかなり多く散りばめられた大衆小説風のSF作品であるけれど、小松左京さんのハードな分析と描写は健在。「エスパイ」は「エスパー」(超能力者)の「スパイ」という意味で、国際的な秘密組織「エスパイ国際機構」に属する超能力者が国際的な陰謀を阻止するために戦う物語。敵側も超能力者で超能力者同士の戦いになっている。
 バルトニア首相を暗殺して世界の平和を乱そうとする超能力者のテロ集団に対してエスパイの面々が挑む。1970年代の特撮ということで、超能力そのものの場面は今から見れば拙い表現だけれど、テーマは広い意味での「愛」となっており、人間愛であったり、親子の愛であったり、男女の愛であったりと様々な形で描かれる。
エロチックなシーンは原作を忠実に再現すれば成人指定、それも相当にバイオレンス性の高いものだけに、そこはぐーっと抑えてある。キャストの割にはチープな出来で、原作ともかなり外れているので評価は高くないですね。

☆キャスト
 本編の半分以上が海外での場面(という設定)なので、外国人の登場人物も多い。
・田村良夫 / 藤岡弘
 本作の主人公、日本支部のエスパイ。
・マリア原田 / 由美かおる
 本作のヒロイン、日本支部のエスパイ。原作のマリア・トスティ。原作と異なり、当初から田村とは日本支部の仲間。
・三木次郎 / 草刈正雄
 サイコキネシスを見込まれてスカウトされた新人エスパイ。原作には登場しない。
・寺岡:睦五郎
 日本支部のエスパイ。先の三人に比して、海外にも飛ばなかったし活躍の場面が少ない。おまけに終盤はやられ役。
・法条 / 加山雄三
 エスパイ国際機構・日本支部の支部長。原作ではメンバーは全て超能力者だが、本作ではテレパシーを使っただけ。
・P・B / アンドリュー・ヒューズ
 エスパイ国際機構の代表。原作では高位の超能力者で部下への連絡はテレパシーだが、超能力を使う場面はなく連絡は電話でしてきている。
・サラバッド師 / 岡田英次
 インドの超能力者。墜落しかけたジェット旅客機をサイコキネシスで上昇させる程の大超能力者。能力を使い果たして死亡する。
・ウルロフ / 若山富三郎
 逆エスパイのボス。超能力が原因で父親を殺されたため、世界を滅ぼしてエスパー=新人類の世界を築こうとする。
・巽五郎 / 内田勝正
 逆エスパイのスナイパー。冒頭、列車の中の国連の調停委員4人を高台から狙撃する。日本でバルトニア首相を直接狙うが阻止され現場で銃殺された。
・バルトニア首相 / スティーブ・グリーン
 本作のキーパーソン。逆エスパイから命を狙われる。影武者を使っており本物はどこにいるか謎。
・ボール / 山谷初男
 情報屋。本物のバルトニア首相の居所を知っているため狙われる。
・アブドゥラ / ウィリー・ドウシー
 逆エスパー、巨漢の黒人。原作ではマリアをショーで犯し男根を田村にサイコキネシスで折られるのはバンボという別の黒人だが、本作ではマリアの唇を奪いに行ったところを田村にサイコキネシスで舌をねじ切られる。

☆主題歌
 主題歌は尾崎紀世彦の歌う「愛こそすべて」。人の超能力は愛によって発動するというのが最終的なテーマになっているのか、ラストシーンのウルロフのセリフを受けて流れる。いかにも70年代の歌謡曲という雰囲気の曲。今聞けば、SFスパイアクション映画の主題歌とは思えない。今ならもっとオシャレな曲を使うでしょうね。山口洋子作詞、平尾昌晃作曲、京健輔編曲。
posted by KAZU at 10:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 特撮

2011年08月05日

「日本沈没」(2006年)



 「日本沈没」(2006年)は2006年に東宝の配給で公開された劇場用SF特撮映画作品。原作は小松左京の同名長編小説。監督は樋口真嗣、音楽は岩代太郎、協力として東京消防庁・独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)・東京大学地震研究所・防衛庁・陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊・本庄市が名を連ねる。特撮監督は神谷誠、特別スタッフとして地球物理学・火山学・山岡耕春名大教授。製作は「日本沈没」製作委員会(小学館、TBS、毎日放送、電通、毎日新聞社、J-dream、スターダストピクチャーズ、東宝、セディックインターナショナル)、カラー、135分。
 キャラクターの設定やストーリーが原作からかなり大きく変更されていて、小松左京さんのファンとしてはもはや「日本沈没」とはいえない作品になってます。さすがに描写は30年のギャップがありますから旧作よりもリアルですが、田所博士の直感から日本沈没の可能性を引き出すまでの苦労や、山本総理の苦悩は描かれず、山本総理は先に亡くなってしまいます。逆に原作には登場しない人物、特に山本総理の後を引き継いだ鷹森危機管理担当大臣の活躍が目立ちます。
 最大の山場は原作の「日本沈没」を離れた小野寺と安部玲子のロマンス、わだつみ2000を使っての小野寺の潜航とミッションの成功、N2爆弾の劇的な起爆、鷹森危機管理担当大臣の声明。ここは原作を全く無視した、そう日本が沈没しない最後を迎えてしまいますが感動を呼ぶ場面にはなっています。

☆キャスト
・小野寺俊夫/草g剛
 海洋開発センターの潜航艇わだつみの操艇士。結城の死を受けて、2000メートルまでしか潜れないわだつみ2000でN2爆弾を起爆するために3000メートル超の潜航をして作戦を成功させて、死亡する。
・阿部玲子/柴咲コウ
 ハイパーレスキュー隊の隊員。
・田所雄介博士/豊川悦司
 地球物理学の学者。日本沈没までの時間が1年以内であることを推論する。日本沈没を阻止するためにN2爆薬を利用した作戦を鷹森大臣の協力を以て開始、遂行する。原作、旧作では日本と運命を共にするが、本作では生き残る。
・結城達也/及川光博
 海洋開発センターの潜航艇わだつみの操艇士。田所博士に協力してN2爆薬の設置を行なっていたが、事故により死亡。
・山本尚之/石坂浩二
 内閣総理大臣。文部科学大臣であった鷹森沙織を危機管理担当大臣に抜擢する。九州上空を政府専用機で飛行中に噴火に巻き込まれて死亡。
・鷹森沙織/大地真央
 文部科学大臣、後に危機管理担当大臣を兼任。元田所博士の妻。危機管理センターで陣頭指揮を執る。
・倉木美咲/福田麻由子
 駿河湾沖地震で阿部玲子に救出された少女。
・小野寺道子/長山藍子
 小野寺俊夫の母。
・小野寺香織/和久井映見
 小野寺俊夫の姉。
・田野倉珠江/吉田日出子
 阿部玲子の叔母、玲子の育ての親。
・玲子の祖父/丹波哲郎
 阿部玲子の祖父、鳶の棟梁。本作では写真のみで登場。
・倉木佳美/木村多江
 美咲の母。駿河湾沖地震で被災、意識不明の重体となる。臨終間際に意識を取り戻し美咲に「生きて」と言葉を遺して死亡。
・寺島浩/六平直政
 田野倉珠江、倉木美咲らと避難を続ける床屋。六平直政さんの怪演が光ります。

☆主題歌
 エンドロールと共に流れるのは久保田利伸作詞・作曲の「Keep Holding U」。本編でも効果的に使われています。歌はSunMin thanX Kubota、息の合ったデュエットが本編の小野寺と玲子の抱擁の場面を思い起こさせる秀曲です。
posted by KAZU at 06:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 特撮

2011年08月01日

「日本沈没」(1973年/劇場版)



 未鑑賞だった「日本沈没」の1973年劇場版を借りてきました。編集というか、時間調整のためかやけにカットされた感が強いですが、なかなか良い出来ではないでしょうか。

 「日本沈没」(1973年)は1973年に東宝から公開された劇場用SF特撮映画作品。原作は小松左京の同タイトルの長編小説。監督は森谷司郎、音楽は佐藤勝、特技監督に中野昭慶、 地学の知識を必要とする様々な場面もあり、特別スタッフとして地球物理学の竹内均東大教授、大崎順彦東大教授、奈須紀幸東大教授、火山学の諏訪彰氏、科学者の面々、原作者の小松左京氏も名を連ねる。製作・配給は東宝で、カラー140分。
 とある無人島の水没を調査するため特殊潜航艇“わだつみ”の操縦者・小野寺は、地球物理学者・田所博士と共に海底に潜る。異常な地殻変動を確認した田所博士は、政府からの日本海溝での異変の報告に、更に日本海溝にも潜るが、その海底で巨大な亀裂と乱泥流を発見する。田所博士は集積したデータから日本列島は最短で2年で水没すると予測する。政府は最初は田所博士の説に耳を傾けなかったが、次々と起こる地殻の変動に「D計画」を立て日本の国民と資産を海外へ移すことを決断する。
 原作では田所博士を中心とする海底調査、D計画の発動と遂行という科学・政治を描いた部分と、小野寺と阿部玲子を中心としたヒューマンを描いた部分があるが、この作品では前者の部分を中心に描いていて、全体としてSF特撮作品の色が濃いものに仕上がっている。小説を読んだ限り主人公は小野寺なのだけれど、この映画を見ると主人公は小野寺ではなく、辞表を出してD計画を外れた田所博士でもなく、山本総理ということになるんでしょう。災害時の映像は幾度も流れるけれど被災者視線での描写はありません。

☆キャスト
・田所雄介博士/小林桂樹
 地球物理学の権威、アウトサイダー的存在。最後は日本と運命を共にする。
・山本総理/丹波哲郎
 時の内閣総理大臣。
・小野寺俊夫/藤岡弘
 海洋開発センター(法人)の潜航艇の操艇者。
・阿部玲子/いしだあゆみ
 小野寺が上司から紹介された女性、後のフィアンセ。
・結城達也/夏八木勲
 小野寺の同僚で、潜航中の小野寺を会場でバックアップする。
・渡老人/島田正吾
 財政界を裏から牛耳る黒幕。100歳を越えるらしい。D計画を資金面でバックアップした。病魔に冒されており、最後は日本と運命をともにする。
・竹内教授/竹内均
 ノンクレジットだったが、ご存知竹内均東大教授。総理を含めた政府要人に地球物理学の説明をした。
・花江/角ゆり子
 渡老人の姪。渡老人の身の周りの世話をしつつ付き添った。最後は総理と共に日本を脱出した。
・中田一成/二谷英明
 D−1計画の中心人物。情報科学の専門家。
・幸長助教授/滝田裕介
 D−1計画の中心人物の一人。総理の計画終了命令まで尽力した。
・片岡/村井国夫
 D−1計画の中心人物の一人。
・邦枝/中丸忠雄
 内閣調査室所属、総理大臣秘書官。D−1計画には携わらなかったがD−1と総理のパイプライン。
posted by KAZU at 12:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 特撮