2011年02月28日

「千年女優」



 「千年女優」は2002年にクロックワークスの配給で公開された劇場版アニメ作品。原案は今敏、脚本は村井さだゆき・今敏、音楽は平沢進、制作はジェンコ、マッドハウス、製作は「千年女優」製作委員会(角川書店、WOWOW、クロックワークス、バンダイビジュアル、ジェンコ)、カラー、90分。
 2003年に数々の賞を受賞した今敏監督のアニメ作品。僕は「パプリカ」で初めて今敏監督の作品に触れましたが、表現、描写手法は独特です。最初地球を臨む月とおぼしき星から宇宙ロケットが出発するシーン、「えっ?」と度肝を抜かれます。
 映画会社「銀映」の古い撮影書が解体されることになり、元銀の社員であり、藤原千代子のファンである立花源也はカメラマンの井田恭二と共に千代子の自宅にインタビュー取材に行く。芸能界を引退して隠棲していた千代子はずっと取材を拒んでいたのだが、預かっていた「鍵」を返すという立花の取材を快諾する。鍵を受け取った千代子に立花は問う。「大事なものだったのでは?」。千代子はつぶやくように答える。

「一番大切なものを開ける鍵」

 そして自分の過去を語り始める。物語は過去と現在、更には未来をも巻き込んで、現実と映画の中の役柄が入り乱れて進みます。そして作品の最後の場面は、冒頭の宇宙ロケット発射のシーンへつながり、台詞もまた繋がって輪廻転生を思わせる壮大なスケールを感じさせる仕上がりになっています。半分見ても、八割見ても、九割見てもよく分からないのに、最後まで見ると頭に繋がって疑問が解ける仕組みになっているんですね。詳細のレビューを書いても余り意味がないと思うので是非興味を持たれた方は鑑賞することをお勧めします。
 ただ残酷なのは、千代子が“いつかきっと”会いたいと思っていた画家“鍵の君”がとうの昔に亡くなっていたことが作中で語られます。作品主題はそこではなく、千代子の台詞「「だって、あたしは、あの人を追いかけるあたしが、好きなんだもの」の方にあるのですけれど。顔が登場しない“鍵の君”の声は山寺宏一さん、カッコイイ。

☆キャラクター&キャスト
・藤原千代子/荘司美代子(老年)、小山茉美(壮年)、折笠富美子(少女期、青年)
 銀映の大女優。30年前に若くして引退して隠棲している。
・立花源也/佐藤政道(青年)、飯塚昭三(現在)
 スタジオロータス社長。元銀映のスタッフで千代子のファン。
・井田恭二/小野坂昌也
 スタジオロータスのカメラマン。
・島尾詠子/津田匠子
 銀映の元看板女優。
・大滝諄一/鈴置洋孝
 銀映の監督、後の千代子の夫。
・鍵の君/山寺宏一
 画家。思想犯として追われているところを千代子に助けられる。
・傷の男/津嘉山正種
 憲兵として“鍵の君”を追い、後に拷問により殺したことが語られる。
・銀映専務/徳丸完
 千代子をスカウトして、彼女が女優となるきっかけを作った人。
・千代子の母/京田尚子

☆主題歌
 エンドロールで流れた曲は「ロタティオン[LOTUS-2]」。音楽担当の平沢進が自ら作詞、作曲、編曲している。本編から継ぎ目なく流れ始めるこの曲はちょっとレトロな雰囲気を持つ不思議な曲。一度聞いたら耳から離れない魅力がある。アルバム「賢者のプロペラ」に収録。

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2011年02月27日

細野佑美子さん



 先にご紹介した「ムラマサ」の一ノ章とニの章に水野真弓として出演、特にニの章ではヒロインを演じているのが細野佑美子さん。「ムラマサ」ではムラマサのとりつかれた狂気に満ちた女性・水野真弓ですが、実に真に迫っていて恐い。大きくてくりっとした眼がすごくカワイイのですが、それがにらんだり目をむいたりすると狂気に満ちた顔になるのです。僕が見た他の作品としては「姫 試す女」がありますが、この作品でも狂気に満ちた女“夢子”を演じています。「姫」は「あなたの日常に繋がる女の恐怖!」と題するオムニバス作品ですが、その第1作目が「試す女」。実はこの作品にも勝村美香さんが出演されており、勿論僕は美香さん目当てでこDVDを買ったのですが、美香さんはナイフをつきつけられる普通のOL役です。
 細野佑美子さんは女優の顔もありますが、声優としても数作で声を演じておられます。アイドルユニット「COACH☆」を結成し、「涼風」のオープニング「スタートライン」、エンディング「青いフィールド」「君のこと」を歌っており、メンバー全員が「涼風」のキャラクターの声をあてています。細野さんの役は「桜井萌果」。「涼風」をごらんになった方はお分かりと思いますが、萌果は準ヒロイン。涼風の恋敵という重要な役柄。俳優さんが声優を演じると何か違和感を感じるものですが、それが全くなくて、細野さんの演技力の高さを示していると思うのです。

おまけで美香さん。
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2011年02月26日

「MURAMASA ムラマサ(二ノ章 言霊)」



 「ムラマサ(二ノ章 言霊)」は2004年に制作・発売されたSFアクションのオリジナルビデオ作品で、12作品の2番目の作品。「一ノ章」の続編に当たる。製作総指揮は竹内力、脚本・監督に松井昇、制作はギャングスター、製作・発売元がRIKIプロジェクト、販売は松竹。「一ノ章」の終盤の場面と一部重複しているが、「一ノ章」では次の物語へのブリッジであり、「ニの章」ではその部分が正に序となっている。この形は「二ノ章」の最後の部分でもまた同様。
 「一ノ章」で剣吾は「蜻蛉切り」と「陰縫い」の合体で「陽炎」の切っ先を折る。「陽炎」と「陰縫い」を携えて剣吾と幸子は宗厳の元を訪ね、「陽炎」と「陰縫」は封印されることになる。美香さんの出演はこの場面でお終い。出番が少なくてちょっと残念です。剣吾と幸子が帰った後、島津が寺の結界を破って宗厳に襲いかかる。そこへ助けに入ったのがムラマサ「童子切安綱」の使い手楓牙忠之。主を持たないムラマサ「空蝉」、 ムラマサ「言霊」の使い手風見瞬を交えて新たな戦いが繰り広げられる。
 地下駐車場での幸子と島津の戦いの最中、拳銃に姿を変えたムラマサ「空蝉」はまるで意思あるごとくその場から離れて邪心を持つ者を捜し始める。化粧品のセールスマンの水野真弓は、訪問販売で上手くことが運ばずむしゃくしゃした気持ちを抱えてあるいていると、道端で拳銃(「空蝉])を見つけてしまう。一旦は置いて立ち去ろうとするが、「空蝉」に触れると取りつかれたようになり、そのまま家に持ち帰ってしまう。それ以来、夜毎「空蝉」の声に悩まされ、思い余ってインターネットで検索する内に知り合いの風見にたどりつく。風見に助けを求める真弓だったが、「空蝉」の妖気に捕らわれた真弓が外へ出ると、楓牙に襲われる。剣吾の働きで一旦「空蝉」は封印され警察の手に渡るのだが、真弓は松平刑事に近づいて証拠品である「空蝉」を奪い返す。真弓に再び襲いかかる楓牙だったが、風見は「童子切安綱」と「空蝉」を封印する。

☆キャラクター&キャスト
・柳生剣吾/竹内力
 本シリーズの主人公。ムラマサ「蜻蛉切り」の使い手で、封印師。骨董屋「爾来屋」の店主。

・柳生宗厳/黒部進
 剣吾の父封印師。封印師。ムラマサ「木霊」の使い手。

・霧生/山口祥行
 柳生家に仕える検備師。常に剣吾の命で探索を担当する。聾唖者。

・真田幸子/勝村美香
 ムラマサ「陰縫」の守護継承者。

・島津莎エ (こうき)/小沢和義
 ムラマサ「陽炎」の守護継承者。

・松平仂刑事/山口仁

・風見瞬/ERIKU
 ムラマサ「言霊」の守護継承者。

・楓牙忠之/松山鷹志
 剣吾の腹違いの兄、検備師。「童子切安綱」の使い手。

・水野真弓/細野佑美子
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2011年02月25日

「MURAMASA ムラマサ(一ノ章 覚醒)」



 「ムラマサ(一ノ章 覚醒)」は2004年に制作・発売されたSFアクションのオリジナルビデオ作品。全部で12作品が制作されているが、本作は第1巻。製作総指揮は竹内力、脚本・監督に松井昇、制作はギャングスター、製作・発売元がRIKIプロジェクト、販売は松竹。
 徳川に仇する者たちの怨念がこもった49振の妖刀ムラマサは、江戸時代の終焉と共に時代の中で封印され忘れられていたが、悪しき者たちの性に触発されて現代に甦る。妖刀ムラマサを封印する封印師の一族・柳生剣吾が覚醒したムラマサを封印する戦いを描く。主演は本シリーズの製作総指揮の竹内力、本作のヒロイン・真田幸子に勝村美香。実は、というか当然というか、美香さん目当てで購入したのだけれど、これがなかなかおもしろい。美香さんが出演する2巻までは見たけれど、機会があればその先も見てみたい。
 真田家に伝来するムラマサ「陰縫い」は古い大きな柱時計の針として封印されていたが、妹・幸子が正当な伝承者であることに不満のあった兄・伸行は封印を破って「陰縫い」を使って親族を殺害する。真田家に敵対する島津家の島津莎瓦魯爛薀泪機嵳霸蝓廚魄覆董▲爛薀泪気鮖・勅圓鯏櫃靴討修陵杜呂魍容世靴茲Δ反X圓鮖Δ掘・垢帽・劼砲盻韻い・・襦」
 見どころは何と言ってもクライマックスでの幸子の立回りです。「未来戦隊タイムレンジャー」から3年半、アクションは健在というか、タイムレンジャー当時よりも軽やかで動きは華麗です。この手の作品中の美香さんのキャラクターはどこか陰のある人物が多いですね。幸子も家の中で兄が親族を殺害た現場に踏み込んで、悲鳴も上げないし、驚愕の表情も見せません。いたって冷静。

☆キャラクター&キャスト
・柳生剣吾/竹内力
 本シリーズの主人公。ムラマサ「蜻蛉切り」の使い手で、封印師。骨董屋「爾来屋」の店主。

・柳生宗厳/黒部進
 剣吾の父封印師。封印師。ムラマサ「木霊」の使い手ながら「一ノ章」ではまだ立回りはありません。

・霧生/山口祥行
 柳生家に仕える検備師。常に剣吾の命で探索を担当する。聾唖者。

・真田幸子/勝村美香
 ムラマサ「陰縫い」の守護継承者。

・真田伸行/武蔵拳
 幸子の兄。ムラマサ「陰縫い」の守護師。妹が継承者であることに納得できずに「陰縫い」を持ち出した。

・島津莎エ (こうき)/小沢和義
 ムラマサ「陽炎」の守護継承者。

・伊達金融社長/武蔵拳

・松平刑事/山口仁

・福島和夫/古井榮一

・福島の妻・加奈子/かとうあつき

・化粧品のセールスウーマン真弓/細野佑美子

 タイトルは「ムラマサ」ですが舞台は現代。SF・特撮ものであることを理解した上でご鑑賞を。
posted by KAZU at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 特撮

2011年02月24日

一人芝居



 一人の声優さんがひとつの作品で二つ以上のキャラクターを演じられるケースはままありますね。「魔法少女リリカルなのはStrikerS」ではメインキャラとナンバーズのキャラを二人担当しておられる声優さんもいました。斎藤千和さんがスバル、クワットロ、ノーヴェ。井上麻里奈さんがエリオ、チンク、ウェンディ。木川絵理子さんがギンガ、ウーノ、トーレ。伊藤静さんがシャリオ、オットー、ディード、などなど。同一場面でそれらのキャラクターが出てくるとなかなか大変だと思います。実際に「大変でした」とコメントされてました。
 「マリア様がみてる」の4thシーズンでは有馬菜々が登場しますが、声を演じているのは生天目仁美さんです。生天目さんと言うと、メインキャラクターである先代薔薇様・鳥居江利子さまの声を演じておられます。第4話「未来の妹」で江利子さまに妹を紹介すると大見栄を切ってしまった由乃が江利子さまから逃げた時菜々にぶつかります。追ってきた江利子さまに追いつかれて、「話を合わせて」と言う由乃に菜々は見事に妹候補を演じるのですが、この場面で江利子さまと菜々が言葉を交わします。とっても同一人物が声をアテているとは思えない江利子さまと菜々ですが、生天目さんさすがプロですね。
 ちなみに有馬菜々はすごく頭の回転が速くて機転が利きます。僕が妹にしたいくらい。
posted by KAZU at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション

2011年02月20日

「まんが探偵局ディック・トレーシー」



 僕が好きな女性声優さんは今だと植田佳奈さんと能登麻美子さんなんですが、男性はずーっと前から変わらず若山弦蔵さん。ベテラン中のベテラン、あの低音の渋い声がたまりません。若山さんと言うとショーン・コネリーの吹き替えとして有名ですが、アニメはそれほど多くありません。ナレーションや海外の映画の吹き替えの方が圧倒的に多いです。そんな若山弦蔵さんの担当したアニメキャラの中からひとつ、今日は「まんが探偵局ディック・トレーシー」を。
 原作はアメリカのチェスター・グールドのコミック「ディック・トレイシー」で、アメリカでアニメ化され1960年〜1961年にかけて放映されたそうです。日本では1962年に放映。わずか数分、5分程度だそうですがそんなに短かったかな、の帯放送でした。オープニングはディック・トレーシーの声を演じる若山弦蔵さんがタイトルコール、サイレンを鳴らすパトカーに交差点で車が道を空けて車からディック・トレーシーが拳銃を打つとキャラクターと配役が表示されるというもの。ストーリーはボスであるディック・トレーシーが事件の通報を受けて部下に連絡、部下が事件を解決して、最後にまたディック・トレーシーに報告するという流れで、タイトルが「ディック・トレーシー」ながら出番は意外と少ないものでした。ディック・トレーシーが自ら現場に出て事件を解決したエピソードもあって、その時は全身が写ってましたが、殆どの場面は上半身か声だけの出演です。製作はUnited Productions of America、全130話。
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2011年02月19日

飛行音

ペガサス


ロプロス


 最近のアニメや特撮は音響技術が進んだということもあるのでしょうが、飛行機等々が飛ぶ音は実にリアルです。リアル故に特徴がないと言えばないですね。古い作品を持ち出して恐縮ですが「レインボー戦隊ロビン」のペガサスや「キャプテンウルトラ」のシュピーゲル号の飛行音はおそらくその手の本物の機械の音ではなくて何かの音を利用したものだと思います。それ故に特徴的で画面を見なくても何が飛んでいるのかわかってしまいます。
 いかにも飛行機が飛んでいますという感じの音がするのは「ウルトラセブン」のウルトラホーク1号。「U警備隊西へ」で六甲山上空を旋回飛行するウルトラホークの1号の音とワイヤー操作は素晴らしい。
 僕はずっと前から思っているのですが、「サンダーバード」のサンダーバード2号の飛行音は「バビル2世」のロプロスの飛行音に似ていませんか?
posted by KAZU at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション