
「怪獣大戦争」は1965年に東宝から公開された特撮怪獣映画。まだゴジラが子ども向け作品になっていない頃の作品なので見応えがあるというだけでなく、タイトルに“怪獣”とつくものの内容は人間ドラマで、ドラマとしてもおもしろい作品。もちろん公開当時に見たのではなくて、後にテレビで、また最近になってレンタルして見たけれどなかなかの秀作です。監督は本多猪四郎、特撮監督に円谷英二、製作に田中友幸、脚本に関沢新一、音楽に伊福部昭、94分カラー作品。
196x年に木星第13番衛星が発見される。地球連合は探査船P-1号を発進させ、富士とグレンを探査に向かわせた。第13番衛星(X星)には高度な文明を持つX星人が、統制官の下で暮らしていた。酸素と水素から水を合成して暮らすX星人は地球征服をたくらんでおり、探査にやってきた富士とグレンに基地を怪物0(キングギドラ)が襲うように見せかけて、キングギドラを退治するために、癌の特効薬と引き換えに地球の怪物01(ゴジラ)と怪物02(ラドン)を借り受けたいともちかける。地球連合はその申し出を受け入れ、日本で眠っていたゴジラとラドンを円盤により運び出す。再びX星に赴いた富士とグレンの目の前でゴジラとラドンはキングギドラを撃退することに成功、癌の特効薬に関するテープを持って地球へ戻る。テープを再生すると音声が録音されており、X星人は地球人の無条件降伏と植民地化を宣言し、それに従わない場合はゴジラ、ラドン、キングギドラによる破壊による征服をすると述べられていた。X星人の歓迎ムードは一転、地球は恐怖にみまわれる。
一方、富士の妹ハルノの恋人・鳥井は売れない発明家。ところが珍しく鳥井の発明したレディガードを「世界教育社」の波川玲子が買うという。「世界教育社」はX星人の地球侵略のための前線基地で、鳥井の発明したレディガードはX星人の弱点である音波を発するので排除するために買いつけようとしていた。交渉が進まないので再三鳥井は「世界教育社」を訪れ、不審を感じて潜入を試みるが見つかり捕らえられてしまう。
物語は任務で地球に潜入していたX星人波川が恋人として愛してしまったグレンを守って殺され、彼女の手紙からX星人の弱点を知るに至って急展開する。X星人の電磁波によるコントロールから解かれたゴジラとラドンがキングギドラを協力して撃退しハッピーエンドで終了する。地球側の当然の勝利ながら、たった一人、波川の種族への裏切り行為で国家的な作戦が破綻してしまうとは実にお粗末。
☆キャスト
・富士一夫/宝田明
地球連合宇宙局の局員、P-1号のクルー。
・グレン/ニック・アダムス(声/納谷悟朗)
地球連合宇宙局の局員、P-1号のクルー。波川玲子の恋人。
・鳥井哲男/久保明
富士の妹の恋人で、町の発明家。
・波川玲子/水野久美
X星人の前線基地・世界教育社の社員を装う。
・富士ハルノ/沢井桂子
富士一夫の妹。鳥井の恋人。
・X星人統制官/土屋嘉男
X星人を束ねる統制官。
・桜井博士/田崎潤
・移動司令/田島義文
他に、清水元、村上冬樹、佐々木孝丸、松本染升、塩沢とき、千石規子、田武謙三、堤康久、桐野洋雄、伊吹徹、宇野晃司、等。
ゴジラのスーツアクターはご存知・中島春雄、ラドンは篠原正記、キングギドラは広瀬正一。