2010年04月21日

「アサギの琴」



 「夏目友人帳」のエピソードの中でどれが一番好きかと問われると、ちょっと迷うけれど、ほろりと涙させるものよりも表現の方法がいかにも映像作品らしい第10話の「アサギの琴」をあげたいと思う。
 高貴な妖怪(単純に妖力が上というわけではないよう)が集まる「磯月の森」にたいそう美しい琴の音を響かせると評判の妖怪アサギがいた。青い髪、青い目をした美しい女性の姿をした妖怪。壬生神様の下で琴を奏でていたが、体が土のように乾いて崩れていく病を得て、壬生神様に琴を聞かせることができなくなり、自ら森を出る。傘持ちをしていた妖怪アカガネはアサギに付き従い、瓢箪の中にアサギを入れ、病気の進行を遅らせるために器となる人を探しながら、もう一度アサギに琴を弾かせたいと願っている。そんなある日、自分の姿を見ることのできる人の子(つまり貴志のことだが)に出会う。アカガネは器にするため貴志を狙うが斑に一蹴される。貴志に名前を聞かれたアカガネが答えなかったため、「じゃのめさん」と名付けられたアカガネは、夜中にこっそりと貴志にアサギを憑依させてしまう。アサギが琴を弾いて願いがかなったら体から離れていくということで、貴志はアカガネに協力することにする。満月の夜、磯月の森への道が開く。しかし体の弱ったアサギに道を急ぐことはできず、アサギはアカガネのために琴を奏でる。
 最後にアサギが琴を奏でるところが素晴らしい。美しい調べは波紋によって表現されて決して音は使っていない。幽玄の世界、人には聞くことのできない音は人に奏でることはできない。想像におまかせという感じだ。アサギの声を演じた能登麻美子さんの声がこれまたアサギのイメージにぴったりだった。
posted by KAZU at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメーション