
「キャプテン・スカーレット」は1968年にTBS系列で放映されたSF特撮人形劇。イギリスのジェリー・アンダーソン傘下のCentury 21 Production による制作で原題は「Captain Scarlet and The Mysterons」、全32話。総指揮はもちろんジェリー・アンダーソンで、音楽はバリー・グレイが担当している。イギリスでも日本でも大人気だった「サンダーバード」は米国ではいまひとつだったそうで、よりアメリカ人好みの作品として企画されたそうだが、逆に日本では暗くて地味な映像で人気は今ひとつだった。ただ放送当時からプラモデルが大々的に発売されて、追跡戦闘車やパトロールカーは小遣いで買って作った覚えがある。ちなみにこの追跡戦闘車は素晴らしいデザインで、今何かでポンと使っても通用しそうなカッコイイものだった。
設定と演出はやや複雑。舞台は21世紀後半、地球防衛機構スペクトラムが火星探査にあたって異星人ミステロンの施設を攻撃目的と間違って破壊してしまう。ミステロンは破壊されたものを復元して不滅にする力を持っており、破壊された施設を復元して、地球人に対して宣戦布告する。ミステロンはブラック大尉、キャプテン・スカーレットを殺して復元し手先として地球へ送り込む。キャプテン・スカーレットは戦闘中にブルー大尉に撃たれ塔から転落するが、そのショックで自我を取り戻し、スペクトラムの不死身の隊員としてミステロンと戦う。冒頭でミステロンがブラック大尉に指示を出したり、あるいは行動声明を出したりするが、その姿は描かれずにリング状の光として表現されているだけ。姿無き敵として謎めいた雰囲気を出している。そのせいかエピソードも大々的な戦闘よりも水面下の戦いといった秘密裏な作戦の描写が多かったように思う。
印象的なのは場面切換。ティンパニーによる短いブリッジがが使用され、その時にスペクトラムのマークと前後の映像がフラッシュバックする独特の演出が用いられた。また通信に略号が用いられ「了解」には「SIG」が使用された。日本でも「緊急指令10-4・10-10」や「戦え!マイティジャック」などの例があるが「キャプテン・スカーレット」は早期の例。そして、女性隊員だけで構成されるエンジェル隊。「ギャラクシーエンジェル」とは全く異なり、白い制服をまとったパイロット達がエンジェルインターセプターに乗り込みスクランブル発進する。
鮮明に覚えているエピソードはないが、何故か敵キャラのブラック大尉を一番よく覚えている。スペクトラム側が誤認して攻撃したのが戦闘の直接原因だけにミステロンを一方的に悪者扱いにはできないと思うが、このブラック大尉は何か悪の傀儡のような雰囲気だった。あとは華やかなエンジェル隊ですか。キャプテン・スカーレットも階級では大尉だと思うがタイトルが英語のままなので、日本語版でもそのまま英語の階級で呼ばれている。いつも瀕死の重傷を負うもののその不死身性故に救急隊は後回し、心配する民間人にブルー大尉が「キャプテン・スカーレットは不死身なんですよ」と冗談ぽく本当のことを言っていた。
☆キャラクター&キャスト
・キャプテン・スカーレット/中田浩二
・ホワイト大佐真木恭介
・ブルー大尉/羽佐間道夫
・グリーン少尉野沢那智
・マゼンタ大尉/広川太一郎
・グレイ大尉/森川公也
・オーカー大尉/浦野光
・ブラウン大尉/青野武
・Dr.フォーン/石原良
・コンチェルトエンジェル/来宮良子
・ファンタジーエンジェル/武藤礼子
・シンフォニーエンジェル/鈴木弘子
・キャロルエンジェル/向井真理子
・サリーエンジェル/増山江威子
・ミステロン/大木民夫
・ブラック大尉/加藤精三
・ナレーター/城達也
主題歌は「キャプテン・スカーレット」で東北新社企画部作詞、小野崎孝輔作曲、歌は西六郷少年合唱団、劇団ひまわり。本編の印象とは異なる明るい歌声。
☆参考サイト(英語サイトです)
http://captainscarlet2068.tripod.com/index.html
キャラクター名、特にエンジェル隊は日本名と異なるので注意。