2009年05月29日

「いなかっぺ大将」



 5月27日に作詞家の石本美由起さんが心不全のため亡くなられました。「は〜れた空、そ〜よぐ風」、僕のカラオケでの十八番「憧れのハワイ航路」は石本さんの作詞です。数々のヒット曲を生み出し昭和の歌謡史に名を残す石本さんですが、アニメの主題歌となるとかなり少ないのです。検索してひっかかってくるのは「いなかっぺ大将」の主題歌で、天童よしみさんが若き頃吉田よしみ名義で歌った「大ちゃん数え唄」と「いなかっぺ大将」が有名です。ちなみに挿入歌を含めて全て石本さんが担当しています。ということで、石本美由起さんの追悼記事として「いなかっぺ大将」を。

 「いなかっぺ大将」は1970年から約2年にわたってフジテレビ系で放映されたアニメ作品。原作は小学館の学習雑誌に掲載された川崎のぼるの同タイトルの少年漫画で、アニメ制作はタツノコプロ。初期のタツノコプロの作品としては珍しく一般の原作からアニメ化した作品。監督は笹川ひろし、音楽担当は中村勝彦、製作は吉田竜夫。全104回で1回に2話放送で208話。
 柔道少年の風大左衛門は亡くなった父・風陣左衛門から柔道を極めろと言われ、赤の越中褌に袴、上着は柔道着、風呂敷包みを携えて田舎から上京する。父の友人で柔道家の大柿矢五郎の家に居候して柔道に励む。知らない人はここまでだとハードな内容かと思うが、実は半分はギャグ調。大左衛門は動物の言葉を理解し、柔道の師匠は二足歩行の猫・ニャンコ先生で、先生伝来の必殺技“キャット空中三回転”を習得しており柔道は段位。一人称は「わし」、語尾に「〜だす」を付けて喋り、美女にはデレデレ、音楽はジャンルを問わず聞くと踊りだす。踊り始めた時や、何か事あるごとに衣服を脱ぎ褌一丁になることも多い。この破天荒で涙もろく、ずっこけてばかりの主人公が起こす珍事を描く。2年にわたる人気アニメで同年代で知らぬ人はいないと思うが、僕はもうこの頃からギャグ系には力が入らず2年目は余り見た記憶がない。

★キャラクター
・風大左衛門
 本作の主人公、通称大ちゃん。
・風陣左衛門
 大ちゃんの父。
・ニャンコ先生
 大ちゃんの師匠で、二足歩行の猫。語尾に「〜なもし」を付けて喋る。「とってんぱーの にゃん ぱらりっ」の掛け声のもと、キャット空中三回転を繰り出す。
・森花子
 大ちゃんの幼なじみで、大ちゃんに会うために度々上京する少女。通称花ちゃん。
・大柿矢五郎
 大ちゃんの父の友人の柔道家。大ちゃんを自宅に住まわして柔道を教える。
・大柿キク子
 矢五郎の娘で、大ちゃんが一目惚れしてしまう。通称キクちゃん。
・豚丸木トン子
 大ちゃんに惚れてつきまとう少女。その名の通りというキャラ。
・白雪ケメ子
 大ちゃんらが通う白ばら学園の教師で、大ちゃんの担任。
・嵐先生
 白ばら学園柔道部の顧問。
・車陣八郎
 嵐先生の師匠で柔道の達人。
・西一
 大ちゃんと犬猿の仲のメガネの少年。
 
★キャスト
風大左衛門(大ちゃん)/野沢雅子
ニャンコ先生/愛川欽也(この頃はまだまだ声優さんとして活躍してましたね)
森花子(花ちゃん)/杉山佳寿子
大柿矢五郎/大平透
大柿キク子(キクちゃん)/岡本茉利
豚丸木トン子/丸山裕子
白雪ケメ子/北浜晴子
嵐先生/仲村秀生
車陣八郎/千葉耕市
西一/八代駿

 主題歌はオープニングに「大ちゃん数え唄」。作詞は石本美由起さん、作曲は市川昭介、歌は吉田よしみ。この昭和歌謡調でこぶしの効いたオープニング主題歌は強烈な印象を与えた。おかげでエンディングをまともに覚えている人は少ないのではないかと思う。吉田よしみ(現・天童よしみ)さんが中学生の時のレコードながら、びっくりの歌唱力で現在の活躍ぶりがうかがえます。エンディングは「いなかっぺ大将」で作詞は石本美由起さん、作曲は市川昭介、歌は吉田よしみとオープニングと同じスタッフによる。曲名がタイトルと同じでエンディングになっている数少ない例で、レコードでもオープニングをA面にもってきている。エンディングは途中で変更されていて、第2エンディングは「西一のいびり節」。この曲は全く記憶にない。作詞は石本美由起さん、作曲は市川昭介、歌は八代駿。この時期のアニメで主題歌が変更になっているのも珍しい。
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2009年05月28日

XANADU



 昨日の補足を。「 ザナドゥ〜ドラゴンスレイヤー伝説〜」はVHSで発売されてDVD化はされていないと思うのですが、本編の画像が本当に少ない作品で、ちょっとネット上を検索したくらいでは出てきません。上の画像はレコードのジャケットから。周りの他の人物と比較して、リエルの露出度が高いのがわかりますでしょうか。
 主題歌を歌ったEMOTIONですが、昨日は5人とご紹介しました。シングル盤のジャケットによると編曲を手がけている羽毛田丈史さん(キーボード)はゲスト参加だそうで、岸本友彦(ヴォーカル)、松川純一郎(ギター・コーラス)、野崎広一(ベース・コーラス)、石橋茂雄(ドラムス)の4人が正規メンバー。
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2009年05月27日

「 ザナドゥ〜ドラゴンスレイヤー伝説〜」


 今やゲームをオリジンとするアニメ作品は山ほどありますが、その先駆的な作品であったのが「ザナドゥ〜ドラゴンスレイヤー伝説〜」です。「ザナドゥ」は1985年に日本ファルコムが発売したアクションロールプレイングゲームで、日本ファルコムの社員であった都築和彦氏が漫画化、それを原作として作られたのがこのアニメ作品です。OVAとして作られましたが、角川書店から漫画が発売されたということもあり、角川の試写会があってそれを見に行きました。今でも語り種にされるほど酷評の多い作品です。漫画が確かコミック1巻のみで、終決というより途切れているため、アニメの方も何か中途半端な感じなのですが、それ以上に「下品」と言われるのはヒロインのリエルがやたらと肌をさらすところ。深味のない作品ですが、一応原作ものなのでさらっと流してみるのもいいかと思います。ただ二度見るものではないかと。原作は日本ファルコム、脚本は山崎晴哉、監督は梅澤淳稔、製作は角川春樹、オリジナルビデオ作品で1988年の発売、カラー、50分。
 近未来のヨーロッパ、主人公のフィーグは戦闘機で交戦中にファンタジーの世界、平和の国ザナドゥに迷い込む。ここで突如モンスターに襲われ殺されてしまう。命を失ったフィーグだったが、大司教タストンの手により復活する。ただ記憶は失っており、最後まで記憶が甦ることはなかった。やがて司教の下でモンスターを狩る毎日、そんなある日司教を訪ねてきた少女リエルに出会い、彼女を大司教のところへ連れて行く。黒魔術を使うレイクスオールは国王を殺し、伝説のドラゴンを復活させて、これまた伝説の武器ドラゴンスレイヤーを手に入れ世界を征服しようとしていることを知ったフィーグと王女・リエルはその野望を絶つために旅に出る。形の上ではハッピーエンドなんですが、何が違和感が残るラストが待ってます。50分ということでストーリー展開はきわめてスピーディでセリフはどうしても説明調になりがちです。僕はゲームも漫画も知りませんが、ゲームとは関連性が少ないそうです。
 キャストは主人公のフィーグ・カムラに堀川亮、ヒロイン・リエルに川村万梨阿、タストン大司教に八奈見乗児、国王に岸野一彦、レイクスオールに飯塚昭三。トミールに土師孝也、シェリンに麻生美代子、カーラに山本百合子、アテナスに頓宮恭子、ユイリイに渡辺菜生子、ユアンに神谷明、レフィに増山江威子。モンスター軍団の将軍・アゴラに大塚周夫、他。さすがに角川春樹製作だけあって名だたる声優さんが並んでいます。
 試写会を見に行ったということで主題歌のレコードも買いました。オープニングが「LONELY NEIGHT」で、EMOTIONのヴォーカル・岸本友彦氏の作詞・作曲、羽毛田丈史・エモーション編曲、歌はEMOTION。エンディングに「NO SURRENDER 」。同じく岸本友彦作詞、EMOTIONのギタリスト・松川純一郎作曲、羽毛田丈史・エモーション編曲、歌はEMOTION。アニメの出来はともかくとして、この主題歌は一度聞いただけで耳に残るなかなかすばらしい楽曲。EMOTIONという男性5人のユニットの演奏もなかなかです。
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2009年05月26日

「黄金バット」アニメ版(1967年)



 「黄金バット」(アニメ版)は1967年に読売テレビ系で放映されたアニメ作品。原型はもちろん紙芝居のヒーローで、原作は加太こうじ、作画・一峰大二の漫画「黄金バット」。週間少年キングに連載され、アニメがスタートしてからは月刊「少年画報」にも連載された。劇場版公開の翌年、主題歌はそのまま、黄金バットの声も小林修さんが連投した。登場人物の設定は異なる。人気は高く、髑髏を正義の味方に仕立てた大元の紙芝居がいかに優れた発想であったかを示す秀作。全52話が放映された。
 ナゾーの起こす事件を負うのは世界的科学者のヤマトネ博士率いるヤマトネ研究所。主人公的存在はヤマトネ博士の息子でタケル、黄金のコウモリを呼び出して間接的に黄金バットを呼ぶ少女にマリー、ヤマトネ博士の助手に丸顔のダレオがいる。ヤマトネ博士が開発したスーパーカーは形は単純などら焼形の円盤で、飛行は勿論水中も移動することができる。着陸するとアコーデオン式に上下に伸びる構造になっている。ヤマトネ、タケル、ダレオ、マリーで出かけることも多いが、ヤマトネ研究所の研究員が操縦して出ることも多い。操縦席には大きなモニターがある。
 劇場版ではナゾーが何者かはまったく触れられていなくて、宇宙人なのか人間なのかもわからない。ただ目から怪光線を放つところから見ても人間とは思えない。アニメ版では基本デザインは同じで4つの異なる色の目を持ち左手は機械の鍵爪、下半身は円盤の中にあり、足はない?移動も円盤に乗ったままだ。何かと事あるごとに「ローンブロゾー」と叫ぶ、それは喜びの声の時もあり、怒りの声のときもあり。手下は明らかに人間で、その頭がマゾー。今調べるとマゾーの声は内海賢二さんが演じていた、ちょっと意外。ナゾーは最終回で黄金バットを灰にして勝ち誇るも「疲れたから休む」と言ってマゾーも入ったことのない奥の部屋に引き上げる。一方逃げ出したヤマトネ博士とタケルは「立入禁止」の獣の臭いのする部屋にを通って外に出るとそこはナゾーの司令室だった。つまりヤマトネ博士達が通ってきたのはマゾーも入ったことのないナゾーの部屋だったわけで、この後黄金バットが蘇り、ナゾーが自室へ戻った直後にその部屋から怪獣が飛び出してくる。あくまでも謎のままでストーリーは終わっているが、ナゾーが怪獣だったということを臭わせる内容になっている。
 中盤あたりからナゾー以外に黄金バットの敵役として暗闇バットが登場する。ネットで調べると黄金バットと同じような姿で濃紺色だそうだ。アニメ版はカラーながら、何度も書いているように家のテレビが1974年まで白黒テレビだったために色については名前の通り黒っぽい黄金バットだと思っていた。黄金バットと何度も戦い一旦は敗れて眠りに着くが、最終回の一話前に復活、最終回では四次元の世界で黄金バットと戦い肉体も滅びる。黄金バット曰く「四次元で死んだ者、それは再び生き返ることはない!」。
 さて黄金バットは水差しの一滴の水によって蘇る。武器はシルバーバトンと秘密のマント。実写版と異なりバトンからは光線が放たれ、あるいは怪獣に突き刺さり超兵器として活躍する。マントは一振りで秒速50メートルの風を起こすという設定。幾度もナゾーの手下を吹き飛ばした。マリーによって呼び出されるが、黄金バットを直接呼ぶのではなくて「コウモリさん、コウモリさん」とコウモリさんにお願いし、高笑いとともに登場。弱点は水を奪われること。アニメではナゾーに巨大な乾燥機の中に閉じ込められて完全に乾燥してしまい、眠りについてしまう場面があった。

☆キャスト
黄金バット/小林修
ナゾー/島宇志夫
ヤマトネ博士/村越伊知郎
ヤマトネタケル/高橋和枝
マリー/松島みのり
ダレオ/立壁和也
マゾー/内海賢二
ナレーター/藤本譲

「強い!絶対に強い!正義の味方、われらが黄金バット」
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2009年05月22日

高見エミリー

 劇場版「黄金バット」でエミリーを演じたエミリー・ベアードさんは後に高見エミリーの芸名で活躍した歌手・俳優・タレントさん。現在は民主党代表の鳩山由紀夫さんの弟・鳩山邦夫さんの奥様としても有名。年齢的には僕より少し上で、活躍されたのが結婚されるまでの若き頃だけなので、若い人には馴染みはないと思います。ところが「キイハンター」や「おひかえあそばせ」、「美人はいかが」などの人気ドラマに出演、特撮にも何度も登場しています。特に「仮面ライダー」では島田陽子さんや山本りんださんなど通称“ライダーガールズ”の一人としてエミ役で出演。一見でハーフとわかる顔だちながら、まったく違和感のない日本語で一度見ると忘れがたい俳優さんでした。「黄金バット」では10〜11歳くらいですが、「仮面ライダー」のエミを見ていればすぐにその人とわかります。
 もうひとつ出演作品で有名なのが「キャプテンウルトラ」の最終回「行け!キャプテン宇宙をこえて」でキャプテンやアカネ隊員、ハックと共に無限の園に降り立ったミユキ役で出演。ケンジと手をつないで走っています。
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2009年05月21日

「黄金バット」(1966年劇場版)その3



 ネット上でこの劇場版のスチール写真を発見。興味のある方はご覧になってください。若き日の千葉真一さん(なぜか髭面)や高見エミリー(鳩山邦夫氏の妻)のかわいい写真もあります。


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2009年05月18日

「黄金バット」(1966年劇場版)その2



 前回にひきつづき、あらずじと感想を。

 宇宙制服をたくらむ宇宙人ナゾーが惑星イカルスの軌道を変更し地球に衝突させ地球人の滅亡を企てる。アマチュアの天文家風早アキラはイカルスの観測から軌道が変わって地球にぶつかることを突き止め、天文台に報告するが全く相手にされない。天文台からの帰りアキラは怪しいサングラスの男達に拉致される。連れて行かれたところは国連の秘密機関のパール研究所。日本支部の隊長ヤマトネから地球を守るために隊員になってくれるように要請される。アキラは承諾、パール博士と会いパール研究所で働くことに。パール博士とヤマトネは超破壊光線砲を完成、これでイカルスを破壊する計画だが心臓部のレンズの原石が見つかっていない。その説明が終わったところでレンズの原石を捜す別動隊からの連絡が途絶える。ヤマトネ達はスーパーカーで別動隊が消息を絶った所へ急行、そこに地図にはない島を発見する。着陸したヤマトネはそこが古代アトランティス大陸の一部であること知る。別動隊は全滅しており、ナゾータワーが出現攻撃をしかけてくる。ナゾーの手下に神殿の奥に追い詰められて出口を捜す内に柩を発見する。柩には1万年後に地球に危機が訪れた時、甦って正義のために共に戦うという黄金バットのメッセージが書かれていた。不思議なことにレンズの原石の反応が柩の中からあり黄金バットの手に原石が握られていた。原石を手に入れたものの必用なナゾーの攻撃から逃げる術がない。パール博士の孫娘エミリーは柩のメッセージの通り水を黄金バットの胸に注ぐとコウモリが出現、黄金バットが復活する。黄金バットの力でナゾータワーを退け、研究所に戻ったヤマトネ達は超破壊光線砲を完成する。危機感を覚えたナゾーは部下のケロイド、ピラニア、ジャッカルにパール研究所を襲い超破壊光線砲の奪取を命じる。超人的な能力を持つ彼らは研究所に侵入。パール博士を連れ去り、超破壊光線砲を奪う。しかしヤマトネはレンズを外して隠しておりナゾーはレンズを奪い武器として使用しようと企む。ピラニアは隊員のナオミに化けて潜入。同じくパール博士に化けたケロイドも研究所に潜入してレンズを捜すが見つからず、現場をみられたエミリーを拉致する。ピラニアの正体を見破ったヤマトネは彼女を追い詰めるも取り逃がす。東京都心に現れたナゾータワーとの決戦。レンズはヤマトネとパール博士が黄金バットに預けていた。隊員を容赦なく殺していくケロイドにヤマトネはやむなくレンズを渡す。レンズを手に入れたナゾーはイカルスの衝突の前に脱出しようとするが、ナゾーの空飛ぶ潜水艦を奪った黄金バットがナゾータワーに体当たりを敢行。停止したナゾータワーでナゾーと対決した黄金バットは超破壊光線砲を奪い返し、イカルスを粉砕、地球は救われる。平和を取り戻し黄金バットは去っていく。
 1966年のモノクロ時代、CGを見慣れた今と比較するとちゃちでレトロな特撮映像で、特に黄金バットの飛行シーンは合成映像でちょっといただけませんが、ナゾータワーの造形はすばらしいです。あれで先端の部分が“顔”になってなければよかったのですが。エミリーを拉致して首を締めパール博士にレンズの在り処を吐かせようとしますが、エミリーを見殺しにしても正義のためにレンズを渡さないというパール博士が立派です。人間ドラマとしてはこの部分が一番ハードボイルドであったと思います。何と言っても黄金バットの高笑いが印象に深い作品。ちなみにアニメ版のナゾーの定番台詞「ローンブロゾー」は劇場版では発していません。
posted by KAZU at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 特撮