
5月27日に作詞家の石本美由起さんが心不全のため亡くなられました。「は〜れた空、そ〜よぐ風」、僕のカラオケでの十八番「憧れのハワイ航路」は石本さんの作詞です。数々のヒット曲を生み出し昭和の歌謡史に名を残す石本さんですが、アニメの主題歌となるとかなり少ないのです。検索してひっかかってくるのは「いなかっぺ大将」の主題歌で、天童よしみさんが若き頃吉田よしみ名義で歌った「大ちゃん数え唄」と「いなかっぺ大将」が有名です。ちなみに挿入歌を含めて全て石本さんが担当しています。ということで、石本美由起さんの追悼記事として「いなかっぺ大将」を。
「いなかっぺ大将」は1970年から約2年にわたってフジテレビ系で放映されたアニメ作品。原作は小学館の学習雑誌に掲載された川崎のぼるの同タイトルの少年漫画で、アニメ制作はタツノコプロ。初期のタツノコプロの作品としては珍しく一般の原作からアニメ化した作品。監督は笹川ひろし、音楽担当は中村勝彦、製作は吉田竜夫。全104回で1回に2話放送で208話。
柔道少年の風大左衛門は亡くなった父・風陣左衛門から柔道を極めろと言われ、赤の越中褌に袴、上着は柔道着、風呂敷包みを携えて田舎から上京する。父の友人で柔道家の大柿矢五郎の家に居候して柔道に励む。知らない人はここまでだとハードな内容かと思うが、実は半分はギャグ調。大左衛門は動物の言葉を理解し、柔道の師匠は二足歩行の猫・ニャンコ先生で、先生伝来の必殺技“キャット空中三回転”を習得しており柔道は段位。一人称は「わし」、語尾に「〜だす」を付けて喋り、美女にはデレデレ、音楽はジャンルを問わず聞くと踊りだす。踊り始めた時や、何か事あるごとに衣服を脱ぎ褌一丁になることも多い。この破天荒で涙もろく、ずっこけてばかりの主人公が起こす珍事を描く。2年にわたる人気アニメで同年代で知らぬ人はいないと思うが、僕はもうこの頃からギャグ系には力が入らず2年目は余り見た記憶がない。
★キャラクター
・風大左衛門
本作の主人公、通称大ちゃん。
・風陣左衛門
大ちゃんの父。
・ニャンコ先生
大ちゃんの師匠で、二足歩行の猫。語尾に「〜なもし」を付けて喋る。「とってんぱーの にゃん ぱらりっ」の掛け声のもと、キャット空中三回転を繰り出す。
・森花子
大ちゃんの幼なじみで、大ちゃんに会うために度々上京する少女。通称花ちゃん。
・大柿矢五郎
大ちゃんの父の友人の柔道家。大ちゃんを自宅に住まわして柔道を教える。
・大柿キク子
矢五郎の娘で、大ちゃんが一目惚れしてしまう。通称キクちゃん。
・豚丸木トン子
大ちゃんに惚れてつきまとう少女。その名の通りというキャラ。
・白雪ケメ子
大ちゃんらが通う白ばら学園の教師で、大ちゃんの担任。
・嵐先生
白ばら学園柔道部の顧問。
・車陣八郎
嵐先生の師匠で柔道の達人。
・西一
大ちゃんと犬猿の仲のメガネの少年。
★キャスト
風大左衛門(大ちゃん)/野沢雅子
ニャンコ先生/愛川欽也(この頃はまだまだ声優さんとして活躍してましたね)
森花子(花ちゃん)/杉山佳寿子
大柿矢五郎/大平透
大柿キク子(キクちゃん)/岡本茉利
豚丸木トン子/丸山裕子
白雪ケメ子/北浜晴子
嵐先生/仲村秀生
車陣八郎/千葉耕市
西一/八代駿
主題歌はオープニングに「大ちゃん数え唄」。作詞は石本美由起さん、作曲は市川昭介、歌は吉田よしみ。この昭和歌謡調でこぶしの効いたオープニング主題歌は強烈な印象を与えた。おかげでエンディングをまともに覚えている人は少ないのではないかと思う。吉田よしみ(現・天童よしみ)さんが中学生の時のレコードながら、びっくりの歌唱力で現在の活躍ぶりがうかがえます。エンディングは「いなかっぺ大将」で作詞は石本美由起さん、作曲は市川昭介、歌は吉田よしみとオープニングと同じスタッフによる。曲名がタイトルと同じでエンディングになっている数少ない例で、レコードでもオープニングをA面にもってきている。エンディングは途中で変更されていて、第2エンディングは「西一のいびり節」。この曲は全く記憶にない。作詞は石本美由起さん、作曲は市川昭介、歌は八代駿。この時期のアニメで主題歌が変更になっているのも珍しい。