2008年05月15日

「霧の湖」



 NHKの少年ドラマシリーズの中で放映されたサスペンス物の中でよく覚えているのは「赤い月」とこの「霧の湖」。「赤い月」の方は松本清張原作の「高校殺人事件」のドラマ化ということでより本格的なサスペンス物でしたが、「霧の湖」の方はその点は少しドキドキ感は少なかったように思います。たぶん主人公の久美子にとって、事件にたまたま遭遇しただけで対岸の火事的なところがあったからなのでしょう。原作は久生十蘭の「肌色の月」で、偶然にもタイトルが月がらみです。この作品での一番の話題は主人公宇野久美子を演じた上原ゆかりさん。“マーブルちゃん”と呼ばれた上原さんのマーブルチョコレートのコマーシャルを見ていた年代にとっては、設定年齢は高校二年生、成長したマーブルちゃんにびっくりでした。もっとも顔だちは一目でその人と分かりましたが。
 原作の「肌色の月」は久生十蘭の遺作で、未完成のままだったものを夫人が補筆して完成させたそうですが現在は絶版。「霧の湖」と違って久美子も大人の女性とのこと。幸いなことに「霧の湖」そのものはDVDが発売されており見ることができます。ということで、ストーリーの方はさらりと控えめに。
 今の暮らしに嫌気がさして書き置きを残して家出をし、一人旅に出た高校二年生の宇野久美子はバンガローに泊まるつもりで歩いていたが激しい雨に雨宿りをしているところを車で通りかかった大池忠平に声をかけられ、彼の別荘に泊めてもらうことになる。その夜、厭世的な話をする大池忠平。翌朝、彼の叫び声とともに大池忠平は姿を消す。別荘の管理人はボートから人が落ちるのを見たと言い、やがて事件の捜査に二人の刑事と忠平の双子の弟・孝平、妻・君代、息子・隆が別荘にやってくる。大池忠平は会社の金を使い込み女性と一緒に逃避行していたらしい。久美子は家出をしてきた身、身元がバレるのを恐れて友達二人の名前を組み合わせて「坂井ひろこ」と偽名を名乗り、でたらめな住所を言ってしまう。久美子の着ていたトレーナーのK.Uのイニシャルを適当にごまかしたこともあり、忠平が共に逃避行していた女性は久美子ではないかと疑われ身柄を別荘に拘束されてしまう。刑事に住所を調べられ、それがでたらめであり、名前も偽名であろうことが推測されとうとう本署へ移送して取り調べられることになる。その夜は嵐になり別荘の管理人・石倉は久美子に「こっそり逃げてくれ」と連れ出そうとしたが見つかってしまう。その騒ぎに孝平は久美子のことを「宇野さん」と言ってしまう。久美子の本名を知っているのは忠平だけ。それをきっかけに事件は解決に向かう。(Read More につづく)Read More
posted by KAZU at 08:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 番外編