2007年08月31日

「パプリカ」



 「パプリカ」は2006年に劇場公開されたSFアニメ映画。原作は筒井康隆氏の同名小説、監督は今敏。筒井康隆氏が今敏氏にアニメ化を求めてことから実現したそうだ。製作はパプリカ製作委員会(マッドハウス、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)、アニメ制作をマッドハウスが手がけている。それほど大々的に宣伝されなかったが、「夢が犯されていく」というキャッチコピーをご覧になった方は多いのでは。映像も大変きれいで、内容もしっかりしており、テーマも現代社会にマッチしたところに据えられており質の高いアニメーション映画作品。
 財団法人精神医療研究所の天才研究家時田浩作は夢を共有することのできる装置DCミニを開発する。所長の島寅太郎、サイコセラピストの千葉敦子、時田、時田の助手氷室啓、研究所員小山内らはDCミニを使った精神治療を推し進める。千葉敦子は所長島から特殊治療の依頼を受けた時には夢の中での人格パプリカとなって治療を患者の夢の中に入っていく。島所長の友人で刑事の粉川もそんなパプリカの患者のひとり。そんな折、DCミニが研究所から盗まれる。犯人と目された氷室の夢に飛び込んだ時田、時田を救出に夢に飛び込んで行ったパプリカは、DCミニ開発を中止させようとする理事長乾精次郎と彼と組んだ野心家の小山内守雄が黒幕であることを知る。時田と氷室の夢に工作する粉川の夢、そして夢と現実の境目が消えていく恐怖の中でパプリカが乾の野望(夢)を崩し去る。
 夢の中での継ぎ目のないパプリカの変身、奔走する場面は実に軽やかで美しい。氷室の夢の中で再三現れるパレードは人が描ければどうしても理路整然としてしまう事象を見事に無秩序化している。そして垣間見える理事長乾の野望を映し出す人形たちは恐ろしい。圧巻は小山内が羽根を持った妖精のパプリカを展翅板に固定して襲う場面。パプリカの体に手を突っ込み皮を剥ぎ取って千葉敦子を引き出すあたりは、原作を読んでいないけれど筒井康隆氏らしい表現のひとシーンだ。
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2007年08月29日

「ピコリーノの冒険」



 「ピコリーノの冒険」は、1976年に朝日放送系列で放映された「ピノキオの冒険」を原作とするアニメ。正式タイトルは「ピノキオより ピコリーノの冒険」となっている。制作は日本アニメーションで、音楽に中村泰士。全52話。「世界名作劇場」を手がけた日本アニメーションが、原作に多くのオリジナルキャラクターを加えて独自の形に仕上げている。僕には大杉久美子さんの「ピコ ピコ ポコ ピコリ ぼくはピコリーノ〜♪」と歌うメロディが懐かしい作品。
 この作品の一番の特徴は動物のオリジナルキャラ。ゼペットじいさんといっしょに暮らす猫や狐、ピコリーノが共に遊んだり学校へ通ったりするアヒル、そしてピコリーノをたぶらかす役の狐やドラ猫たち。なかなか楽しい面々が登場する。大筋は原作をたどってはいるのだけれど。
 猫のジュリエッタと暮らすゼペットじいさんは寂しさの余り、樫の木で人形を作る。じいさんの気持が通じたのか人形に心が宿る。喜んだじいさんは人形にピコリーノという名前をつける。ピコリーノはアヒルのジーナといっしょに学校へ通い始めるのだが・・・。だまされて酷い目に遭ったり、旅に出て苦労を重ねるところは原作と同じ。そして数々の経験を積み、たくさんの人に出会って、最後はおじいさんの元へ戻る。
 キャストは主人公・樫の木の人形ピコリーノに野沢雅子、ゼペットじいさんに千葉順二、猫のジュリエッタに麻生美代子、狐のロッコに肝付兼太、アヒルのジーナに杉山佳寿子、ボロ狐にはせさん治、どら猫に永井一郎、へびに加藤修、仙女に小山まみ、ナレーションには麻生美代子、他。
 主題歌はオープニングに「ぼくはピコリーノ」。片桐和子作詞、中村泰士作曲、京建輔編曲、歌は大杉久美子とヤング・フレッシュ。エンディングは「オリーブの木陰」で作詞、作曲、編曲、歌はオープニングと同じメンバーとなっている。ただ、このエンディングも記憶にない。オープニングは大杉久美子さんの軽やかで楽しい歌声で、子供向けの歌ながら耳から離れない。

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2007年08月28日

「樫の木モック」



 イタリアの作家カルロ・コリデーィニの「ピノキオの冒険」(Le Avventure di Pinocchio)は有名な童話作品。誰でも少なくとも話の最初と終わりのエピソードは知っているかと思う。ジェペットじいさんが作った木の人形が心を持ち、ジェペットじいさんは大喜びするのだが、ピノキオと名づけられたその人形は勉強や努力することが大嫌い、それに他人にだまされやすい。きれいな心を持った人の言葉にも耳を貸さず、悪の道へ走ったり、危うい目にあったりする。最後はピノキオを心配して海に出たジェペットじいさんを捜して鯨に呑まれ、ジェペットじいさんとめぐり合い、最後は素直な心を持つに至り、女神様(?)に人間の少年にしてもらうというお話ですね。この童話を原作にしたアニメ作品は二つ「樫の木モック」と「ピコリーノの冒険」。まずは時代的に古い方からご紹介したいと思う。
 「樫の木モック」は1972年にフジテレビ系列で放映されたアニメで、アニメ制作はタツノコプロ、音楽担当は越部信義、演出には吉田竜夫さんが自ら参加した、全52話。「ピノキオ」を知る人にはキャラクターからお話に至るまで既知のイメージがあるものだが、そこはタツノコプロと吉田竜夫さん、原作を生かしつつキャラクター名を変えて違った世界を描こうとした。アニメはタツノコプロ色なのだが、残念ながら人気は今ひとつだったように思う。わずか数年後に制作された「ピコリーノの冒険」が大成功を博して音楽と共に今でも語られるのに比べると、記憶彼方に埋もれてしまっている感がある。
 ということでキャストのデータも余り見当たらない。樫の木の人形、主人公のモックに丸山裕子、モックを作ったお爺さんに矢田稔、妖精に池田昌子、他。
 オープニングは「樫の木モック」で作詞は丘灯至夫、作曲は音楽担当の越部信義、歌は小野木久美子さん。エンディングに記憶はない。レコードを見たことがないのでわからないのだが、B面に入っていたのが「僕は悲しい木の人形」(丘灯至夫作詞、和田香苗作曲、小野木久美子、ムーン・ドロップス歌唱)ではないかと思う。本編では使用していなかったようなのだが。

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2007年08月27日

冷戦時代のアニメ〜エイトマン〜

 原作や設定に米ソ冷戦時代の影響を色濃く残したアニメ作品は多い。「サイボーグ009」なども表立っては表現してはいないけれど、その影響を感じることができる。特にモノクロ時代の作品は時代的にもそうだと思う。 「エイトマン」もそういう作品のひとつ。原作ではアメリカ合衆国とソビエト連邦とはっきり表現されているそうだが、アニメではアマルコ共和国とソラリア連邦に書き換えられている。



 エイトマンの製作者である谷方位博士はアマルコ共和国の軍事科学研究所でスーパーロボット08号を作るが、軍事目的のために使用されることを嫌い、08号と共に日本に亡命した。一方エイトマンの宿敵ナイト・デーモン博士はソラリア連邦の科学者であり、スパイ。谷博士の研究を奪いスーパーロボットを大量生産してロボット軍団を作ろうと画策する。しかし、何度も失敗を重ねる内にエイトマンを捕らえることそのものに執念を燃やすようになる。さらにはアリューシャン島に基地を置くギャング連合にも加わって様々な武器を開発する。数基の爆発で地球を壊滅させる核爆弾なども作っている。「そんな武器は意味がないのでは」という問いに「もっていることが脅威となり敵を封じることになるのだ」と答えているが、これこそが冷戦時代の核保有の背景を写していると思う。
 最終回で谷博士は「他人を思いやる温かい心を持つことだけが、我々が生き延びる唯一の道であると信じる」と結んでいるのだが、二大大国の争いを解く方法は結局は「思いやりの心」であるということ。これが40年以上前に放映されたアニメだということに今更ながら驚かされる。

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2007年08月26日

シルバー假面・第参話「鋼鉄のマリア」


敷島教授(ひし美ゆり子氏)

 「シルバー假面」三部作の完結編。実在の人物と歴史上の事件を組み合わせた見事なストーリー展開で、本郷ら帝国軍とザビーネがカルガリ博士の陰謀を阻止、その正体をあらわにしていく。光と影の魔術師・実相寺監督の映像を引き継いだ明暗の対比の強い映像はそれはそれで味があると思うのだが、どうも暗すぎていけない。僕はモニターの明度を一番明るくして鑑賞してしまいました。
 カルガリ博士は捕らえた森鴎外の魂を解き放ち、怪ロボット“鋼鉄のマリア”を生み出しシルバー假面に立ち向かわせる。その装甲は強靱でシルバー假面のパンチやキックで火花を上げるも意に介さず。逆に繰り出すパンチとキックでシルバー假面を痛めつける。一方カルガリ博士は映画の映像やラジオの音声に細工をして人々を無意識の内に集団催眠に陥れていく。本郷の上官は帝国大学の敷島教授に協力を仰いでそのからくりを解くのだが、肝心のカルガリ博士の飛行船を見つけることができないまま、罠にはまってしまう。ザビーネは父・森鴎外の命と引き換えにカルガリ博士に銀の指輪を渡し、カルガリ博士は金・銀のニーベルンゲンの指輪で地球を壊滅状態にしようとする。帝都上空で発動した力は地上に大震災を起こすが、本郷の銃弾は指輪を再び二つに分かつ。森鴎外とのかけひきに負けたカルガリ博士はメフィラス星人のごとく捨て台詞を吐いて飛び去っていく。
 カルガリ博士は宇宙人であり、関東大震災は彼の起こしたものであるというのが暗に示されている。物語は帝国日本の歴史を見据えて、ドイツに留学する本郷と帰国するザビーネの船上での会話で幕を閉じる。
 敷島教授を演じたのは「ウルトラセブン」でアンヌ隊員を演じたひし美ゆり子さん。セブン生誕40周年の今年、還暦を迎えられたひし美さんの登場は特撮ファンには嬉しい。


81.8MHz fmGIG が夜9時からお送りするムーンライト・ブレイク
月曜日は新旧問わず、アニメ・特撮番組について語り尽くす2時間。
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2007年08月25日

バスターバロン



 錬金戦団亜細亜方面の大戦士長・坂口照星の全身甲冑の武装錬金。その姿はオープニングに映像に登場しており、その意味では第1話からその威容を見せていた。
 大戦士長は常に沈着冷静で、思慮深く丁寧な喋り口の男であるが、時折見せる異様さ、強引さが武装錬金に表れている。巨大なロボット形の武装錬金で設定上は身長が57メートル、体重は550トンだそうで、一度だけ見せた部分的発動でさえ周囲を破壊する巨大なものである。特性は両肩にあるサブコクピットに載せた戦士の武装錬金の特性を増幅して利用できること。必殺技はナッルガードで巨大ヴィクター(本体ではなかった)を葬り去った。核鉄のシリアルナンバーはXVII(17)である。最終回では気密密閉してカズキを迎えに月に向かって飛んだ。
 ちなみに設定身長と体重、57メートル・550トンは僕と同年代ならばご存知と思うが、「超電磁ロボ コンバトラーV」の値そのままだ。「身長57メートル 体重550トン 巨体がうなるぞ 空飛ぶぞ その名は超電磁ロボ その名はコンバトラーV V!」という歌詞を思い出される方も多いのでは。「武装錬金」ではこの手の転用がよく見られのだが、作者・和月伸宏氏のパロディやお遊びというより、さりげない愛着心と呼ぶべきか。本編には何ら影響のないところでの隠し味。
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2007年08月24日

モグラート作戦


ミスターK(平田昭彦氏)

 ヤマト一郎の押した自爆装置で基地諸共に爆死したと思われたミスターKは生きていた。「レインボーマン」はイグアナの死、死ね死ね団の基地爆破により最終回の予定だったそうで、人気故の続投ということで、ここからは新展開となる。次に登場するのが地底戦車モグラートを使った作戦だ。こんな科学装備を作り出すとはいかに死ね死ね団が強大で資金力があるかがよく見てとれる。地底からの攻撃に対しては私達は無防備だ。「ウルトラセブン」の最終回「史上最大の侵略」でゴース星人も言っている。地下に潜る力をもつダッシュ6にしても、何度もモグラートを追うもののなかなか捕らえることはできなかった。ミスターKはモグラートによってタンカーを攻撃、石油施設攻撃、加えてダッカーによる航空機への攻撃で、世界に「危険な国日本」を印象つけ、島国で資源の乏しい日本を孤立させようとした。
 レインボーマンはモグラートの製造工場を発見し爆破することに成功した。安心するタケシだったが、工場責任者であったダイアナはモグラート2号の救出に成功、再びモグラートによる作戦を再会する。淑江とのデートの途中でタンカーが爆破されるのを見たタケシ。
 モグラートの超爆弾による人工津波で東京は大混乱になるが、ダッシュ7の大技「真空竜巻の術」で津波を中和させてしまう。このあたりになるともうレインボーマンは一人の戦士というよりはウルトラマン並みの超人です。
 このモグラート作戦の失敗の後、ミスターKの標的は日本からレインボーマンに変わっていく。次のサイボーグ作戦ではレインボーマン抹殺を至上命令として、レインボーマンに執着していくこととなる。
posted by KAZU at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | レインボーマン