「CASSHERN」は2004年公開されたSF劇場版作品。1973年に放映されたタツノコプロのアニメ「新造人間キャシャーン」を原作とする実写映画作品。公開直後の評は大変悪かったが、それの殆どが原作アニメ作品と比較してのことだったように思う。映画のパーツであるCG映像はすばらしく、それの組み立てには難があるとは思うが、アニメ版とは全く違う構成、主題を持つ別作品として十分楽しめるものだと思う。比較は禁物。残念なのは予告編にアニメ版の名ナレーション「たったひとつの命を捨てて生まれ変わった不死身の体、鉄の悪魔を叩いて砕く、キャシャーンがやらねば誰がやる」を用いているところ。きっぱりアニメとは切り離して欲しかった。
キャストは東鉄也(キャシャーン)に伊勢谷友介、ヒロイン上月ルナに麻生久美子、鉄也の父・東博士に寺尾聰、鉄也の母・東ミドリに樋口可南子、ルナの父・上月博士に小日向文世、ブライキング・ボスに唐沢寿明、アクボーンに宮迫博之、サグレーに佐田真由美、バラシンに要潤。ここまでが原作から名前を借りたキャラクターたち。映画オリジナルキャラとして日興ハイラル社員の内藤薫に及川光博、上条将軍に大滝秀治、父親を失脚させて実権を握る上条中佐に西島秀俊、町の老医師に三橋達也、東ミドリの助手・池上にりょう。オープニングナレーションに納谷悟朗。音楽には鷺巣詩郎。エンディングテーマソングに宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」(作詞・作曲・歌宇多田ヒカル)。無為感漂うエンディングにふさわしい沈んだ雰囲気の曲。この映画にはぴったりだと思う。
大亜細亜連邦とヨーロッパ連合の終るアテのない長き戦争の結果荒廃した世界での物語。東博士はある種族の持つ特殊な細胞を発見。人間の体をパーツ化して提供できる「新造細胞」の理論を発表するが、反論こそあれ、誰も協力しようとしはしなった。そんな中で軍とつながりのある日興ハイラル社の内藤は既に博士の理論を実現するべく研究施設を建設、博士に協力を迫る。病気の妻ミドリを救うために博士は内藤の要求を飲む。博士の息子鉄也は幼なじみの上月ルナと婚約するのだが、父への反発と戦時に自分だけが何もしないことを嫌悪、志願して兵士となり前線に向かう。博士は研究に没頭するがその成果は出ないまま時間が過ぎて行く。
一年後、鉄也は戦死、その遺体が博士の研究施設へ運ばれたその日、突如異様な形をした稲妻が新造細胞の研究施設のプールに落ちてプール内の死体パーツが合体していく。新造細胞の新たな反応で生まれた人間は施設から脱出しようとする。軍は次々と彼らを殺して行く。脱出途中に「死んではだめ、生きるのよ」と新造人間を助けようとした東ミドリを連れて、脱出に成功したブライキングボス、バラシン、サグレー、アクボーンはブライキングボスを中心にロボット軍団を作り人類抹殺の戦いを始める。このシーンでのブライキングボスの悲痛な訴え、論理は真に正当。人間の性悪をえぐってくる言葉だ。(つづく)
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