
「巨人の星」では飛雄馬の心の中にくっきりと影を残した5人の女性がいる。ひとりは飛雄馬の母・春江。それから姉・明子、オーロラ三人娘の橘ルミ、山奥の診療所の看護婦・日高美奈、女番長・京子。母は飛雄馬が赤ん坊の時に亡くなりその臨終のシーンは何度も作品中で流れた。姉・明子は後に花形夫人となり、女番長・京子は左門の妻となって続編にも登場することになる。ちなみに京子の声を演じたのはあの武藤礼子さん。看護婦・日高美奈は物語の中で亡くなる。今回はオーロラ三人娘の橘ルミをとりあげてみたいと思う。
事の発端は大リーグセントルイス・カージナルスのオズマとの出会いにある。オズマは自らを「野球ロボット」と呼び、飛雄馬に対して「お前は野球人形だ」と言う。それに対して激しく抵抗する飛雄馬はオフシーズン、芸能人の新春ボーリング大会への出場を依頼される。自分が野球人形でないということを示すために、飛雄馬は父・一徹に反抗するため出かけていく。これがまた突然の依頼で確かテレビ局の人間が迎えに来てその場で出かけたと記憶している。「ボーリングなんかしたことあるの」と問う明子に「どうにかなる」というような言葉を返していたと思う。
同様に出場を依頼された花形は父の事業の関係で、左門は金のために出場していた。二人とも「星君は来ない」と確信していた。ところがやってきた飛雄馬を見て驚く。飛雄馬の“人間の証明”の物語の始まり。
売れっ子のアイドル・オーロラ三人娘がそれぞれ花形、左門、飛雄馬とペアを組む。飛雄馬とペアを組んだのが橘ルミ。ボーリングの後、それぞれテレビ局をペアで出た三組。花形は女性をスポーツカーで送り届け、左門は田舎者丸出しの芋くさい話で嫌われる。飛雄馬とルミだけがこのあと付き合うことに。飛雄馬の「姉ちゃん以外の女性の顔をこんなに近くで見たのは初めてだ」というセリフが印象的だった。
このあと契約更新で球団から年棒の6割増を提示され一発サインかと思われたが、オズマが日本でプレーしたがっているという話を聞いて態度を一変、10割増を要求する。契約を更新しないまま次シーズンが近づき、飛雄馬は自費自主トレに踏み切る。ルミの誘いがあった日には自主トレを休んだりと、何かとマスコミが騒ぐ。そしてそのマスコミが記事になる写真を撮ろうと仕組んだためにルミは足をくじいてしまう。ルミはすこぶるミーハーで押しが強い女性だったが、飛雄馬と住む世界が違うことを悟ってルミの方が引く形で終わっている。足を痛めたままステージに立つルミは痛めた足につっかえ棒をくくりつけパンツ姿で歌う。ステージに駆けつけステージの袖からルミの足を見て愕然とする。「来ないで。ルミがマウンドに助けに行こうとしたら止めるでしょう。ステージはルミのマウンドです。」最後の手紙はこんな内容でしたね。
オーロラ三人娘が歌った曲は「クールな恋」。ザ・ゴールデン・カップスのナンバー(1968年)
I love you, I love you, forever more(ラ・ラ・ラ)
I love you, I love you, forever more(ラ・ラ・ラ)
愛するってこわい、別れがこわい