
この作品は魔法少女たちがジュエルシードをめぐって戦いを繰り広げるという非日常的なストーリーなのだけれど,テーマはずっと日常的なところに置かれています。それが見えてくるのは第5話あたりからでしょうか。とても小学三年生とは思えない三年生のなのはの,非凡な魔法の才能と物怖じしないきりりとした性格とは裏腹に,フェイトに対する思い,友達に対する思いがあふれています。なのはとユーノの念話,なのはの独白,なのはの両親の会話,なのはのクラスメイトすずかとアリサとの会話,フェイトと使い魔アルフの会話はいつも愛するものを思いやる心にあふれています。そして,それが最終回へ,次シリーズの「魔法少女リリカルなのはA's」へつながっていきます。
こういうテーマを扱うためか,相対する感情を表す場面はかなりシリアルで非情なものが多かったなと思います。この辺りの表現はなかなか子供向け番組では描かれない,深夜の放送のひとつの醍醐味かもしれません。嬉しいことにレンタルショップにDVDが並んでいるので,是非見ていただきたい作品のひとつです。