TV版ウルトラセブン「セブン暗殺計画」でウルトラ警備隊の活躍によりその計画に失敗したガッツ星人は、平成ウルトラセブン'98年三部作の第2話「地球より永遠に」で再び地球にやってくる。
長浦市で異常な火山活動が観測される。調査のためにカザモリ隊員とサトミ隊員がやってくる。そして硫化水素ガスが噴き出す火山地帯に現れた異様な人間を捕らえると、その人間は硫化水素を分解してエネルギーを得る硫黄細菌を体内に持った硫黄人間だった。
一方、長浦市の異常な動きに調査にやってきたダンは不穏な動きをする住民たちに不審を覚える。中に親切にしてくれるタクシー運転手やスナックの少女ナツミがいたが、宿泊先のモーテルが爆破されたりナツミが殺されたりと事故に巻き込まれ、自分を排斥しようとする動きにカザモリ隊員の姿を借りて調査を続ける。そしてとうとうガッツ星人の基地を発見する。単身侵入したカザモリはガッツ星人と対峙、セブンに変身するがかつての強敵ガッツ星人にまたしても不覚を取り、意識を失う。
気がついたカザモリによってガッツ星人のメッセージが収められたディスクが地球防衛軍に持ち込まれる。それによると、地球は近い将来“マントルプリューム”と呼ばれる巨大なマントル対流によって火山活動か活性化され地上に噴き出した硫化水素で地上の生物は死滅するという。しかしガッツ星人の勧める硫黄人間化によって人類に生き延びる道がある。それを手助けするためにガッツ星人は地球にやってきたのだと言う。地球防衛軍でガッツ星人の提案を受け入れるかどうか会議が開かれる。
しかし、考えてみればうさん臭い話だ。今回はたった1体だけで地球にやって来て、有効関係どころか前回は侵略者だったわけで、たった一枚のディスクのデータだけでどうしようというのか。会議の結果は「人類は自らその解決方法を探る」ということでガッツ星人の提案を拒否する。現実はガッツ星人が裏で怪獣サルファスを使ってマントルプリュームの活性化を促して、地球人を硫黄人間化し、地球征服を企んでいたわけだ。
この作品の見どころ1はカザモリ隊員とサトミ隊員の私服での演技、若きふたりの初々しい演技が楽しい。見どころ2はスナックの少女ナツミ。演じるのは菅原晶子さん、この作品でのメインゲスト俳優。物事に対して斜めに捉え、自ら硫黄人間となった設定17歳の女性の内面的な悲しさを浮き彫りにし、好演している。見どころ3はサルファスとセブンの対決で、サルファスがガスを吹き出し空を暗雲で覆って太陽を遮りセブンを苦しめる場面で、シラガネ隊長がウルトラホークの旋回飛行でガスを吹き飛ばしセブンを救う場面。
僕は一度裏切った人間は二度と信用しないが、まして一度侵略者としてやって来た宇宙人を信じる可能性を持つことなどあってはならない愚行だと思う。