
「伝説巨神イデオン・劇場版」は1982年に公開された作品。「機動戦士ガンダム」とは異なり、テレビシリーズは人気作品だったので単なるリメイクではなくて新しい部分も追加された。二つのパートに分かれており、前半は「接触篇」。こちらはテレビシリーズの総集編でソロ星での第6文明人の遺跡発掘からイデオンの発見、バッフクランとの接触戦闘のいきさつを描く。後半が「発動篇」。ほぼテレビシリーズと同じ内容だが一部ストーリーを変更追加し、設定も若干違う。大筋ではバッフクランとの戦争とイデの発動までを描く。
はっきり言ってテレビシリーズを見た方は見るまでもないかと思う。駄作とは言わないけれど「あらすじ版」であることには違いない。
テレビシリーズでは地球人とバッフクランとの共通の言葉「SAMURAI」を設定して使っていたが結局描ききれずに終わっている。時代背景も何もない言葉遊びだけれど描き切っていればそれなりに意味があったと思うのだが。劇場版ではきっぱり「SAMURAI」を捨てて「軍人」と台詞を直している。ベスの台詞で「カララもサムライの娘だ---」というところを劇場版では「カララも軍人の娘だ---」としている。
もうひとつの大きな違いはテレビシリーズをご紹介した時にも書いたが、僕の一押しのキャラ「ダラム・ズバ」。テレビシリーズではコスモと決闘の最中にギジェに射殺される。劇場版では艦橋に直撃をくらい吹き飛ばされて死亡する。これカッコイイ死に方なのだがイデオンのどろどろした人物関係を描いたストーリーには似合わない。
主題歌はテレビ版オープニングたいらいさおさんの熱唱「伝説のイデオン」、戸田恵子さんのエンディング「コスモスに君と」は確かBGMでは使われていたが、新しい主題歌が作られた。作詞は井荻麟、作・編曲は音楽担当のすぎやまこういち、歌は水原明子。「セーリング・フライ」と「海に陽に」で接触篇・発動篇のそれぞれのエンディングに使われていたと記憶しているが(自信ないです)。「セーリング・フライ」は富野監督に見事みなごろしにされる結末にしては明るい歌。ちなみにすぎやまこういち氏のイデオンBGMは評価が高い。僕もBGM集を買って持っている。聞きごたえのある音の連続。